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極道とウサギの甘いその後3−10

「や…ぁ……っあっ、ああっ、あっ」  ワンピースをめくりあげられて、ちょうどいいなと手近にあったオリーブオイルでいささか性急にほぐされた後、背後から貫かれた。  支点が一つ増えた分楽になったかも……などと思ったのは呑気に過ぎる幻想だった。  その『支点』が伝えてくる快感が全身を巡り、流しに縋り付く腕の力すら奪っていく。 「あ、あっ、りゅうじろ、やぁ……っ、そんなに、したら、」  奥をぐりぐりと掻きまわされるとたまらなかった。  気持ちのいい場所に当たるたびに、反射的に逃げようとする腰を強い力で引き戻されると、それすらも刺激になって背筋が震える。  基本的に気持ちいいばかりなのだが、お仕置きだと言うからには竜次郎は怒っているのだろうか。  にわかに不安が頭をもたげ、力の入らない体を何とか起こして振り返った。 「っあ……、りゅ、竜次郎……っお、おこってる……の……?」 「いや?ただの口実だ」  動きを緩めた竜次郎からの返答は簡潔だ。機嫌が悪い様子でもない。  『関わるな』と言われていたのに出かけて行って、危ないところを助けに来てもらってもいるので怒られても仕方がないと思っていたが、やはり否定してもらえるとほっとした。  口実という言葉には八重崎の言葉を思い出す。 「んっ…あ、じゃあ、イメプレ……?」 「……なんかあのちっこいのの影がチラつきやがるな」  あいつがなんも言わなくてもこの展開だったからな、と謎の主張をされて少し笑ってしまった。 「なに笑ってんだよ」 「あぁ……っ!」  面白くなかったのか、咎めるように感じる場所を抉られ、縋る腕も支える脚もぶるぶると震える。  ただ、そうして頑張って踏ん張ることで、いつものようにぐずぐずにとろけてしまうことができず、極めるには至らない。 「だ…め、も、俺……っ」  延々と絶頂直前の鋭い快楽を与えられ続けて、息が苦しい。  弱音を吐いたが、竜次郎はやめる気はないようだ。  そうすると、やはりお仕置きのような気もしてきた。  まだだ、とへたりそうになる腰を掴みなおされ、耳朶を甘噛みされる。 「『構ってくれない彼氏』なんて汚名を雪いでおかねえとな」 「それ、は……っ、」  湊がそう思っているのではなく八重崎が考えた設定だ、と言いたかったのに激しい抽挿をされて、言葉は途切れた。  しかも前に回った手が解放を求めて震えているものに絡みつく。  抽挿と同じリズムで扱かれて、湊は泣き声をあげた。  腰が動いてしまうのが、逃れようとしているのか、もっと深い悦楽を得ようとしてなのかは自分でもわからない。 「やっ、あ、そこ、あっ……一緒に、したら、だめ、っ……あーっ」 「っ………」  目の奥がちかちかして、ぎゅっと中にあるものを引き絞った。  息を詰めた竜次郎が何度か激しく奥まで突き入れて、内部を濡らす。  湊もまた、竜次郎の手の中に、たまったものを開放していた。 「……んゃ…、…あ……っ」  ずるりと白濁を吐き出したものを引き抜かれると、今度こそ自重を支えていることができなくなって座り込みそうになる。  それを竜次郎が抱き留め、床に座った己の上に抱き上げるようにして座らせた。  なんだかほっとして、動物のように身を寄せる。 「りゅうじろ……、おれ、……竜次郎がいつも俺と一緒にいてくれてるの……わかってるから……」  今は、何も寂しい思いなどしていないとちゃんと言っておきたかった。  まだ息の整わない湊の体を優しく抱き締め、竜次郎は頷く。 「ああ。……どっちか言うと、お前と一緒にいたいのは俺の方だからな」 「竜次郎……、」  甘やかしてもらっているのは、よくわかっている。  それでも同じ気持ちだと伝えてもらえるのが嬉しくて、笑顔がこぼれてしまった。  落ち着いてくると、ワンピースの中が酷いことになっていることを自覚して、風呂に入りたいなと思ったのだが……。 「よし、次はテーブルでやるか」  予想外の展開に目を丸くする。 「えっ、また?」 「構ってもらえると嬉しいんだろ?」 「そうだけど、でも」  やけに上機嫌な竜次郎に問答無用音ばかりに抱き上げられて、ダイニングテーブルに仰向けに寝かされると、照明の明るさに思わず眼を瞑った。  だがその眩しさはすぐに間に入った陰で遮られる。 「背中が痛くなっちまうといけねえから、すぐ済ますからな」  気遣うのはそこなのだろうか。  ちょっとずれているような気もするが、竜次郎に言われたとおり、構ってもらえるのは嬉しい。  湊は破顔して、覆いかぶさる男に手を伸ばした。 「背中が痛くてもいいから、エッチなお仕置き、もっとして……」

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