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極道とウサギの甘いその後4-14
気遣わしげな双眸が湊を覗き込む。
「ほんとに……平気か?」
「うん」
湊の頷きに竜次郎は少し考え、普段の寝床ではなくても何故か当然のように寝具の傍にあるローションを手に取った。
「なら、自分でしてみるか」
「自分で?」
どういうことだろうと首を傾げると、手を出せと言われて素直に差し出す。
そこにどろりとした液体を垂らされてようやく、自分で何をすればいいのかがわかった。
されるよりする方が怖くないだろう、ということだ。
やってみる、と濡れた手で後ろを探る。
「う…………、」
「そっとやれよ」
そう言われても、強弱以前の問題だった。
目的の場所には届いていて、指もぬるぬるしているのになかなか入らない。
いつもの竜次郎の指の動きを思い出しながら受け入れる準備をしようとするのだが、中指の第二関節あたりまでを埋め込んだだけで、あとはもううまく出来なくなってしまった。
くちくちとローションが小さな音を立てるばかりで、ちっとも拡がらない。
「あっ、…できな、竜次郎、手伝って……」
降参して強請ると、背中を支えてくれていた手が下がり、代わりにやってくれるのかと思ったら、湊の手を上から握り込み、抜きかけていた指を再び押し込まれた。
そうされると容易に深くまで指が埋まり、内部の熱さと粘膜の感触に戸惑う。
「あっ、や、これ、なんか……っ」
「どんな感じだ?」
「んっ、自分でしてるのに、自分じゃないみたいな…、あんっ」
「お前の中、気持ちいいだろ?」
「ぅ、よ、よくわからないよぉ」
必死すぎてそれどころではない。
湊の手を包み込む竜次郎の手の熱さ、身体が揺れるたび擦れ合う互いの屹立、どこを意識していいのかわからなくて、たまらず厚い胸に縋り付いた。
「りゅ、じろ…も、い、挿れる……」
「まだ早くねえか」
「へ、平気、だから…っ」
指を抜くと、片手で竜次郎の肩につかまりながら、もう片方の手で慣らした場所に先端を導く。
「んっ……」
「っ……」
ぐっと腰を落とすと、心配された通りまだ柔らかくなり切っておらず苦しかったが、竜次郎が誘導してくれたので、なんとか奥まで収めることができた。
痛みは興奮が押し流してくれるが、その代わりドキドキして上がる息が苦しい。
「ちゃんと…入れられたな」
「うん……っ、う、動く、ね」
竜次郎も汗ばみ、吐き出す息が熱い。
きっと、湊のために自ら動くことを耐えてくれているのだろう。
優しい竜次郎にいっぱい気持ちよくなってほしくて、湊は懸命に腰を振った。
「は……前より上手くなったじゃねえか」
褒めてもらえたが、まだ拙くて、互いに極めるほどには動けない。
息が上がり苦しくて、竜次郎の肩口に額をつけて休憩してしまう。
「は……っ、りゅ、りゅうじろ……」
「俺も、動いていいか?」
「う、ん……っ、あっ!」
頷いた途端、ぐん!と下から激しく突き上げられて、高い声を上げてのけぞった。
腰を掴まれて上下に振られ、臍の裏をごりごりされるような強烈な快感にぎゅっと中が締まる。
気持ちがいい。
「あっ、りゅ、竜次郎、」
キスが欲しくて呼ぶと、全部言葉にしなくても唇を塞がれる。
上も下も竜次郎でいっぱいになるのが嬉しくて、じんと全身が痺れた。
怖いことなんて一つもない。
甘いばかりの快楽は、すぐに湊を限界へと導く。
「や、ごめ、なさ…っも、おれっ……」
唇を離して切れ切れにそれを告げると、許可の言葉の代わりに激しく奥を突かれ、湊は身を震わせながら、達した。
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