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エッチなうさぎとおとなのおもちゃ4(竜次郎・湊)

「つーか、この説明書?がなあ……」  『手と器具をよく消毒する』『非勃起時に入れる方が痛くないらしい』『綿棒使用不可』等々、尿道プレイにおける多くの注意点が記されているのだが、最後は『個人差があるため、真実は全て貴方の心(身体?)の中に……』と括られていて、謎のファジィさに無駄な不安を煽られる。 「俺がはじめてでも上手くできるようにって作ってくれたんじゃないかな」  うさんくせえ……と思っているところへ、手元を覗き込んだ湊の一言に目を剥いた。 「あのちっこいのの自作!?『らしい』とか書いてあるってことは自分で試してねえのかよ」 「八重崎さんの恋人はあんまり特殊なプレイは好きじゃないんだって、前に言ってたよ」  いや待て。じゃあ俺は特殊なプレイが好きだって認識なのか。  ……湊は一体奴にどんな話を聞かせてるんだ。  湊のエロい顔が見られるなら何でもいいってだけで、決して特殊な性癖を持っているとかそういうわけじゃねえぞ。  色々と言いたいことはあったが、承諾してしまったあとでは何を言っても虚しい気がした。  今のところは、深く考えずに据え膳をいただこう。 「とりあえず、やるか」 「うん…」  湊は少し緊張した面持ちで頷いた。  湊が服を脱いでいる間に、道具を物色する。  やたらと長いものや凹凸の激しいもの、ちょっと自分で使うことを考えるとぞっとくるような形状のものもあるが、胡散臭い手引き書に『初心者向け』と写真付きで載っているものを手に取る。  用意がないといけないからと、八重崎は消毒液まで持たせたらしい。  そこまでして……とはやはり深く考えないようにしながら、消毒をしていると、脱ぎ終わった湊が少し恥ずかしそうにしながら寄ってくる。 「竜次郎……俺、どうすればいい?」 「ここ、座れ」  湊は普段、行為のときもあまり大袈裟に恥ずかしがることはない。  それもあってか微かに覗く羞恥の表情をもっと見たいという欲望を押さえきれず、ついやり過ぎてしまうせいで特殊なプレイ要員に数えられているのだろうか。  好きな相手の様々な表情を見たいと思うのは普通のことだと思うのだが……。  今のところはそんな邪念を払い、指示通り素直に竜次郎の足の間に座った湊を後ろから抱え込むように、下腹部へと手を伸ばす。 「あっ」  触れた瞬間、艶を含んだ声があがり、抱き込んだ身体がびくっと震えた。  見れば、湊の中心は持ち上げようと触っただけで反応してしまっている。 「あー……勃っちまったか」  湊がとても敏感だというのを計算に入れていなかった。 「ごめ……」 「謝ることでもねえだろ。一回抜くか……いや、後のことを考えると負担になるな。……やっぱ、自分でやるか?」  人にやってもらうよりも興奮せずにできるのではと提案したが、湊はふるりと頭を振る。 「俺、竜次郎にして欲しい……」  そんなセリフとともにぷるぷるしながら涙目で見上げられると、理性が危ういので自衛してほしい。 「わかった。落ち着くの待って、もっかいやるぞ」 「ん………。なんか、冷えること考えてみる」 「俺は日守のゴミクズを見るような眼差しを思い出すと一発だな」 「…………………………」  目を閉じて一つ深呼吸をした湊が見る間にクールダウンしていく。 「顔色悪くなってきてんぞ」 「うん……ちょっと……接客中に高価なグラスを割ってしまった時の店長と三浦さんの眼差しを想像してみたら人生終わった感じがした……」  グラス一つで人生終わるとかどんな職場なんだ。

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