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第4話 夏のせいにして

蝉な声がこだまする。 日光のせいで地面に触れると暑さを感じる。 塔屋の影でここの地面は辺りと違い少し冷たいぐらいだ。 「えっと、先輩で合ってますよね?」 僕は、振り返り彼の首に巻かれたネクタイを見て確認する。 この学校は、学年ごとにネクタイの色が分かれている。 1年は赤。2年は青。3年は緑。 そして、彼のネクタイは紫色だった。 「ん?あぁ、優君は察しがいいな。そうだよ。先輩だよ。」 少し上を向くと、先輩と目が合い先輩は僕に微笑みかける。 どこか照れ臭くなり急いで目をそらし先輩のネクタイにもう一度視線を向ける。 「えーっと、」 先輩は、僕の視線がずれると小さく何かつぶやいた後、 僕の新たな視線の先のものに気づく。 「あぁ、これ気になる?色違うでしょ?留年しまくってたら学年カラー変わちゃったんだよね。ちょっと前まで、3年は紫だったんだよ。」 そう先輩は言い僕の体制をもとの位置に戻す 僕も抵抗せずに受け身の体制で元の位置に戻された。 「そうなんですね。その、ちなみに今って...どうゆう状況ですか?」 「ん?俺が優に抱き着いてる」 そう、先程僕は、先輩に先輩の足の間にに座るように言われ、 座ったとたん先輩は僕の足を自分の足で包み込み、手を背中から回された。 そして、体制を直され。 今は後ろからしっかり抱き着かれている。 そのまま先輩は、僕の肩に顔をうずめた。 先輩は何で、あんな条件を出してきたのか。 からかっているにしては...距離が近すぎるし、 条件と言ったらいっぱいあるにもかかわらず。 何故、付き合うことなのか。 きっと、僕の反応を見て楽しんでいるに違いない。 もうあんなこと繰り返さない。今度こそは絶対に。 いろいろ考えていると、 先輩は、いきなり優しい声で僕の耳元に「ゆう」っと囁く。 いきなりの行動に、 「ひぁっ」 っと情けない声が漏れる。 その反応を見て、先輩は少し意地悪に微笑む。 「なに?優って耳弱いの?耳好き?」 そう呟くと今度は、耳を軽く甘噛みしてくる。 「ひぁっ!っやっ、それ、やめっ」 自分から発せられた声に恥ずかしさのあまり、顔の体温が上がる。 僕は全力で抵抗して先輩の方を向き先輩を見る。 「はぁ・・はぁ・・せんぱぃ・・やめてぇ・・くださぃ・・・」 すると、先輩は一瞬動きを止め先程よりも強く覆いかぶさる様に抱きしめてくる。 「優。それ反則だから。可愛すぎ。」 僕の背中に何か固いものがあたる。 え、いや。え・・・? 「せんぱい・・・?」 その声に反応するように、もっと強く抱きしめられ、 僕はそのまま押し倒される。

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