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第5話 秘密と約束

「せんぱい..っん“‼」 僕が言葉を発し終わる前に先輩の口が僕の言葉を止める。 先輩は骨盤辺りに手を置くとスルスルとシャツの中に手を入れ ゆっくりと僕の胸へと進んで行く。 もう一つの手がゆっくりと僕のズボンのベルトに伸び意図も簡単に説かれチャックを下ろされ脱がされる。 口が放され離れてゆく先輩の顔が僕の視界に映り込む。 ・・・あ。 ぼくは、この目を知っている。怖い。 怖い‼ 状態に頭が追いた僕は怖さを覚え体が震え始める。 すると先輩の手は止まり手を抜き僕を優しく包み込むと頭を撫でた。  「ごめん。ゆう。」 いきなりのことに一瞬びくっとしたものの先程よりも落ち着きを取り戻す僕に 先輩は 「優。ごめん。怖かったね。もう優には何もしない。けど、ごめんちょっとだけこのまま。貸して」 そういう先輩に僕は軽くうなずく。 すると先輩は、自分のチャックを下ろし 下半身を出すと僕のお腹当たりで、自ら上下に擦り始める。 約束道理、先輩は僕に何もしていない・・・のに、 お腹に先輩のが当たり、先輩の息苦しそうな呼吸音と先輩の下半身から聞こえるクチュクチュっと言った音が頭で響き渡る。 ・・・こっちの方が逆に・・・ 僕は、自分の手で顔を覆う。 クスッと笑う声が聞こえ、さらに先輩は続ける。 ⦅心臓の音がうるさい。⦆ ドキドキと僕の中で鼓動音がうるさいぐらいに響く。 ⦅どうしたんだ⁉僕!!落ち着け‼からかわれてるだけだ‼僕の反応を見て先輩は面白がってるだ!わかってる。わかってるのに・・なんで僕はドキドキしてるんだろう。きっと夏のせいだ!そうだ!全部暑さのせいだ!!!⦆ 頭の中で考えが巡る。もう僕の頭の中はショート寸前だ。 思考回路を張り巡らしていると不意を突くように僕の耳に先輩の息がかかる。 「ひゃっ!」 いきなりの不意打ちに声が出る。 「・・・っん”・・ゆう・・・っんぁ“」 先輩の声が耳の元で囁かれ続ける。 「っひゃっ!!・・・せんぱぃ!!」 僕の口から声が漏れる。 「・ん“っ・・ゆう・・あぁ”っ」 びゅるっ 先輩は体を震わせる。と、僕のお腹の上に先輩の白い液が飛び散った。 はぁっはぁっとまだ、荒い先輩の呼吸と僕の心臓音が脳内で響く。 っと同時に僕は自分の下半身の異常に気が付き先輩を押しのけ、 出口向かってへ走る。 「優!明日もここで持ってるから。」 後ろで聞こえる先輩の声を無視しし足を止めることなく僕は進む。 ⦅一刻も早くここから立ち去りたい!⦆ 僕は、出口までたどり着きドアノブに手をかける。 「約束。付き合ってくれるんでしょ?俺と」 先輩の言葉に、初めの約束を思い出し僕は動きを止める。 「・・・先輩と・・約束した条件ですから。」 僕は異常に気付かれないように、ゆっくりと少しでも声を安定させながら答える。 「(じん)」 想像していなかった言葉に後ろを振り返る。 「先輩じゃなくて、仁って呼んでよ。俺の名前で」 僕は小さく「」と呟く。 「うん。優また明日ね。」 口角を軽く上げた先輩は僕向かって手を振る。 僕は、急いで階段を駆け下りるとトイレへ駆け込んだ。 あの日、廊下で誰とも会わなかったことは不幸中の幸いだった。

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