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第8話

 するりと司のコートと上着を脱がせると、哲也は司をひょいと抱え上げて隣の部屋のベッドに横たえた。  ネクタイをゆるめ、首筋から胸元へとキスの雨を降らせつつ、衣服をはぎとっていく。その間にも自分の服はすべて脱ぎ捨てた。我ながら早業だ。すべてにおいてゆっくりとことを進めるつもりではあるが、こんなところまでゆっくりとするのは野暮というものだ。  舌先は乳首に向かった。 「ん……はぁ」  先端をちろちろとせめると司の小さな口から声が漏れた。哲也の下半身がうずいたが、まずは司の体を十分開かせてからだ。乳首がころころと硬く締まってきたところで乳輪ごとかっぽりと吸いつき、舌で唾液をたっぷりとからませる。 「あ、ああ、ぁ……あっ」  ズボンのベルトに手をかけ、こちらもつるりと脱がせると司のペニスからはすで先走りにぬるんでいて、トランクスにはしみが浮いていた。哲也はトランクスの上から、ふんわりと睾丸をにぎり、手のひらから中指でペニスの先端までなぞりあげた。  体がぐんとのけぞったが、司は唇をかんで大きな声が出そうになるのを我慢していた。 「夜は近所に誰もいないから、好きなだけ声出していいよ」  司は哲也の言葉など耳に入っていないかのようだ。とろんと潤んだ目は快感を得ることしか考えていないようだった。  哲也はペニスの形がべったりと浮き上がったトランクスに手をかけた。きれいなピンク色の亀頭がぴょこんと顔を出すと、その姿がかわいくてたまらず、先端に軽くキスをした。  哲也は司の首に舌を這わせながらこっそりベッドサイドの引き出しを開け、手探りでコンドームとローションの小瓶だけは取り出せた。  最後まで司の身にまとわりついていた靴下は、足の指でベッドの隅にとばしてやった。  ゆっくりと、ゆっくりと、哲也はとろみをまとわせた指を司の中へと滑らせていった。  司は聞いていないようでいて、哲也の言葉を聞いていたのか、哲也が指を動かすたびに艶やかな声をあげた。  だが、司は自分からは動こうとはしなかった。こうしてくれということもない。哲也が与える刺激には素直にかわいらしく反応するが、自分の快感で脳がおぼれてしまったかのように、哲也には何もしないのだ。人形を抱いている、というほど無反応でもない。がちがちに立ち上がった自分のペニスにコンドームをつけている最中にもかかわらず、哲也は変なことが気になった。 「司、俺が、今ここでやめたら、どうする」  司は哲也の言葉の意味をはかりかねてぼんやりしていたが、しばらくして潤んだ目から涙の玉がせりあがってきた。 「嘘、うそうそウソウソ!ごめん、試すようなことして……なんでこんなまねしたかは後で話すから、入れさせてくれ。俺は全然我慢強くなんかねーんだ!」  哲也はぐいっと哲也の太股を持ち上げてのしかかっていった。

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