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精一杯
白いドレスを身に纏ったなおは、綺麗でどこか儚げだった
伏し目がちに目元を少し紅く染めてドレスの裾をキュッと握りしてめている
誰の色にも染まっていない白
本番前に1度見ておいてよかった......おかげで、耐性が少しついた
マリアベールで隠された首筋の証になんともいえないものを感じる
「綺麗ですね、なお。よく似合ってる」
衝撃でこう言うのが精一杯だった
母を送り届けた帰り道
夕日の沈む海に少し立ち寄った
砂浜に2人でくっついて座る
「タキシードだと思ってた......」
「うん。僕も最初は、そうかなって......そしたら、途中にあったあのカップルの写真みて」
照れたように俯きがちにして喋る
「教会でみた花嫁さんが、幸せそうだったの思い出して......僕も着てみたいなって思ったんだ」
後ろからそっと抱き締める
「綺麗だった、なお。ありがとう。私の番になってくれて」
「僕の方こそ、ありがとう。伊織が僕の運命だよ」
「私も、愛してる。なお、君が私の運命......」
「んっ......」
愛しい人に深く深く口づけた
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