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第17話 続・おにーさんと自室*

   エリオットさんから吐き出されるもの全てが愛おしい。それが漏れてしまうのが勿体なく感じてしまい、キスの合間に漏れる息ですら、全て収めてしまいたい。  興奮しきった体では、呼吸が上手くいかないようで、逃げようとするエリオットさんを追いかけ、唇を塞いでいたら弱々しく胸を叩かれてしまった。  そんな姿も可愛くて離したくはなかったけれど…さすがに苦しいのはかわいそうだったので、解放してあげれば、はくはくと口を動かし必死に酸素を吸い込んでいた。焦点が合っておらず、虚ろな金色と目が合うと、それがへにゃっと細められる。  目だけで好きだと告げられている様で、それが堪らなく嬉しい。この人は、今までこんなに素直に甘えたりしてきてくれたっけ…?今までの短いけれど濃い数ヶ月を思い返しても、こんな事は無かったはずだ。これが本来のエリオットさんなんだろうか…  こんな所まで我慢していただなんて、背負い込み過ぎて心配になってしまう。  もっと笑っていて欲しくて、目の縁に堪っていた涙を出来るだけ優しく吸い取ると、彼の肩が小さく震えた。 「リオ…」 「はい」 「リオ、ほんとに、ここにいる…リオ…」 「居ますよ、僕はいつでもエリオットさんの隣に居る。だって、大好きですから」  しっかりと目を見て自分の素直な気持ちを伝えると、彼はとても嬉しそうに微笑んでくれた。  何度も飽きること無くキスを繰り返す。触れるだけの物から、全てを食らいつくしてしまいそうなものまで、何回も、唇が腫れてしまうんじゃ無いかってぐらいにキスをする。それでも、まだ足りなくて、エリオットさんの全て欲しい。  くったりと力が抜けきっている綺麗な人の首元へと、唇を寄せた。なぞるようにキスをしながら下っていくと、甘い香りが鼻を掠める。 「ん…っ」  ぴくりと反応を示す体が嬉しい。万遍なく唇を滑らせ、鎖骨にたどり着いたら、軽く食むようにしつつ、片腕をエリオットさんの洋服の中へと忍ばせる。  ちゅっと軽く音をたてながら、既に硬くなっている突起を指の腹で撫でた。指が動く度に震え、目を閉じている姿が可愛い。  早く、指だけじゃ無くて舌でも突きたくて…下から捲るように服を上へ上げる。そうすれば、飛び込んできたのはピンク色に色づいて誘ってきている二つの頂き。それを見てしまうともう止められない。  唇を寄せて、軽くキスを落とすと、堪らずと言った様子でエリオットさんから声が漏れる。  数回に渡って先端を突くような軽いキスを送り、周りを爪で軽く引っ掻いてみた。なぞる程度の強さで与える刺激に、どんどん硬くなっていった。それも先端だけじゃ無く、周りも連動するように硬くなっていくのが可愛くて…思わずそこを舌で追いかけてしまう。  コリコリとしたものが舌先に当たって…もっと舐めて気持ち良くさせてあげたいって言う我慢の気持ちと、早く口に含み思うままに苛めたいって欲望的な気持ちがせめぎ合い、結局は欲望に負けてしゃぶり付いた。  赤ちゃんのようにピンクを口に含み、舌先で転がすように舐めあげる。 「ぁっ、やめ…ぇ!」  少しだけ違う反応に視線をあげてみる。すると、目を閉じて耐えていたはずのエリオットさんと目が合った。この人は、僕が乳首を吸っているのを見るのが好きだったんだっけ…半開きの口から言葉にならない音を漏らし、何か呟いているのは独り言なんだろうか。  出来れば、何を考えているのか共有したい。おそろしい独占欲をぶつけるように、口内にある硬いそれを吸い上げ、更に激しく刺激を与える。  言って…僕に考えてる事を教えてくれ。  その必死さは、顔に出ていたらしい。シーツを握っていたエリオットさんの手が、僕の方へと伸びてくると、髪へ差し込まれ、よしよしと頭を撫でられた。 「んな顔、すんな、って…」 「ふっ、ん、ごめんら、さ、」  言葉とは裏腹に、口の動きは止められない…ちゅっちゅっと何度も吸い上げる僕を見て、いやらしく顔を歪ませながらエリオットさんは笑った。 「ほんっ、と、リオにされると、イケナイ気分になる」  それは本心のようで、言いながらエリオットさんの息が荒くなっている。胸を吸う僕を見て反則と言っていたっけ…さっきの独り言も、僕の事だったら嬉しい…。  そんな都合の良い考えに同意していると思わせるぐらい、エリオットさんは僕の名前と喘ぎ声だけを口にしてきて、僕の動きも激しくなっていった。  反対側の突起へと唇をずらしつつ、手は下へと向かって動き出す。臍の窪みを軽く引っ掻き、周囲をなぞる。鳥肌を立たせる姿が可愛くて、執拗に臍の周りを突いていたら、やんわりと手を握られてしまった。  やり過ぎてしまったかな…反省を色を込めて見上げて見ると、トロっとした金色が微笑んでいた。別に怒っているわけじゃ無いようで、ほっとする。目が合ったまま、手は掴まれて動かされ、一緒に下着の中へと入り込んでいく。  すでに布はしっとりと濡れていて、硬く反り立っている物が指先に触れた。エリオットさん自身を触りたくて伸ばそうとした手だったけれど、触れる前に本人に制止をかけられ、そこは素通りをしてしまう。  え?触らないのか…?意図が読み取れずにエリオットさんを見ると目が合った。僕がなぜ?と問い掛けているのを、相手だって分かっているはずなんだけれど…微笑むだけで何も答えてはくれない。その代わりなんだろうか、僕を握っている手の力が増し、更に奥の方へと導かれる。  触りやすいようするためか、片足を僕の体の下から抜き出し、挟み込む様に膝を立てられると、一番奥に隠れていた窄まりへと指先がたどり着いた。 「え?えっと…?!」 「だいじょーぶ…早く、指」  そんな、僕が触っても良い所なのか…?だって、その場所はもう体の内側だし、少しでも加減を間違えれば痛いはずだし…素人な僕よりも、エリオットさんがやった方が安全なんじゃ…  本当に良いのかと戸惑う僕を置いて、エリオットさんは僕の中指を掴むと、迷い無くその窄まりへと進めていく。 「あ、まって…!」  必死な制止も虚しく、僕の指先は簡単に温かい所へ埋まっていく。第一関節と少しぐらいまで入った所で手を離される。  ど、どうしよう、どう動かしたら良いんだろう…?!抜くことも進める事も出来ず止まってしまった僕へ、下から催促する声がした。  早く、入れて、動かして…そんな魅惑的な言葉に、生唾を飲み込む。  僕だって男だ、覚悟を決めないと…!意を決して、なるべく痛くないようにとゆっくり指を進めて行けば、順調に奥へと入り込んでいく。  温かいものに指全体を包み込まれつつ、感じた事も無い圧迫感…今、エリオットさんの中へ指を入れてるんだって、実感すればするほど、興奮してくる… 「ん…、動かしてみ」 「でも…」 「指曲げて…」  恐る恐る指示された通りに指先を曲げたら、ぐにっとした中を掻き分ける指先の刺激が伝わってきて、息をのむ。もっとかき混ぜろとせがまれ、遅かった動きは徐々に早くなり…次第に気遣う余裕も無くなってくる。  でも、それは正解だったようで、エリオットさんから甘い声が上がり始めた。ぴくっと腰が揺れ、自分で好きな所を当てようとしているのか腰の位置が上がる。  そんな痴態を見せつけられれば止められない。もっと指を入れてみたいって思うのは当然のことだ。  少しだけ指を引き抜き、窄まりの周りに寄っている皺を人差し指の爪で軽く引っ掻く。もう一本入れたい、と無言でおねだりをしたら、くすりと笑い声が聞こえた。 「増やしていーぜ」  許可が降りた瞬間に、待機していたもう一本の指を穴の中へと差し入れる。狭い入り口を通り抜け、先に入っていた指と合流させてからゆっくりと奥へ押し入れた。  同時に抜き差しを始めると、先ほどよりも漏れる声が増えた気がする。やっぱり質量は大きい方が気持ち良いのかもしれない。習った通りに差し入れとかき混ぜる動きを始め、速度を上げていく。  次第に、僕を挟むようにしていたエリオットさんの足は力が抜けていき、とうとう緩みきり大きく広げられてしまった。もっととせがまれているような体勢だけれど…さすがに三本目を入れるには滑りが悪い。  どうしたら良いのかと困っていた僕を察したのか、エリオットさんがベッドのすぐ隣にある棚を指さした。 「瓶、入ってるから、取って」  指さされた棚の位置なら、指を中へ入れたままの状態でも届きそうだ。  ちょっとの時間でもエリオットさんから抜け出すのが嫌だ。そんな自分の我が侭で、中に入れっぱなしで少しだけ体を起こし、引き出しを漁る。 「んあぁ…!?」  すぐに手にあたった固い物を引っ掴み姿勢を戻せば、潤んだ瞳が見上げて来ていた。謝ろうとするよりも先に、なんで入れっぱなんだコノヤローと睨み付けられてしまった。 「ごめんなさい、痛かったですか?」 「横着しやがって…」 「すみません…エリオットさんから出たくなくって…」 「う…っ、そーゆー可愛い事言うの、やめろ…」  頬を赤く染めて視線を逸らしてぼそっと呟かれた。そっちの方が可愛いのだけれど…と思うのは心の中だけで留め、すみませんと今度は笑いを含んだ謝罪をした。  手の取った瓶の中身はオイルだった。蓋を開ければほんのりと柑橘系な香りがする。さすがにこれをどう使うかぐらいは僕にだって予想が付く。  足を開いているせいで少しだけしか下ろせなかった下着だけれど、オイルを垂らすだけなら十分だ。自分の手のひらへたっぷりと垂らしたそれは、エリオットさんに少し浮かせてもらった腰のおかげで、窄まりの中に流し込んでいく。動きを止めているけれど、先ほどとは比べものにならいぐらいに動きやすくなったのを感じる。  もう十分かな?止めていた指を中へすり込むように動かしてみたら、ぐぽっと卑猥な水音が聞こえた。 「ひゃぅ?!」  出すつもりは無い声だったんだろう。慌てて口元を押さえたエリオットさんが、驚いた顔をしている。刺激は今までと同じなのに、なんで声が出たのか…本人も理解が出来ていないようだ。  ゆっくりと指を回転しながら出し入れするように動かすと、ぐぷりとまた水音が漏れて、それから甘い声が上がる。え…?もしかして、この人は水音に興奮してる…?  確認の為、わざと音が上がるように何度か指を動かしてみたら、押さえている口元から声が上がり続ける。本人はそれでも気づいていないようで、戸惑いの表情を浮かべていた。  慣れていると思ってたのに、そんな所は分からないなんて…そのギャップに加虐心をそそられる。 「興奮…してます?」 「ぁっ、ちが、んあッ、」  首を振って否定をするのに被せるよう、水音を上げる。途端に漏れる喘ぎ声に口元が緩んでしまう。  もっと乱してやりたい…そんな気持ちで、三本目の指を特に予告も無く挿入すると、オイルの手助けもあり簡単に飲み込まれていった。増えた指のせいか過剰にビクリとしてから、ゆらゆらと腰が揺れている。それに応えてあげたくて、できる限りはしたない音を立てながら指を動かした。 「はっ、んん、音…!」 「はい、エリオットさんのお尻、ぐちゅぐちゅってしてる」 「やめ…!」 「嫌ですよ。僕、この音、好きだ。興奮する…」  貴方が好きなものだからって意識をし始めたら、僕も音が伴うだけで興奮が増して行く…今更やめろなんて言われたって、止められるはずもない。  すっかり留守になっていた胸の頂きへ再び唇を寄せながら上目遣いで断ると、エリオットさんの眉がきゅっと寄った。困ったような顔をしているのに、嬉しそうに見える…今の僕の精神状態はおかしくなってしまったみたいだ。 「リオ…、ここ、」  ゆらりと白い手が伸びてきたと思うと、中を弄っていた僕の手へ添えられた。固定するように掴み、自身の腰を擦りつけるように動かしたら、指先に何か固い物があたった。コリっとしているそこへ、僕の指を擦りつける為に何度も腰が揺れる。 「あぁっ、ここ、んッ、リオ、ここぉ…!」  ビクビク震えながら白い腰を振り続け、縋るように名前を呼ばれる。  その間にもぐちゅと響く卑猥な水音。  とんでもない煽りを受けている…あまりの色気に息が止まった。愛撫することも忘れ、食い入るようにエリオットさんの痴態を見つめていたら、もう一度名前を呼ばれた。  ああ、そうか…ここが好きで触って欲しいんだ…そうと分かれば、体が勝手に動き出す。  教えられた奥の方を指先で軽く撫で、何度も突けば高い声を上がる。逃げるように首を振り腰が揺れた。逃がすわけにはいかない…!動く腰を捕まえ固定をし、尚更激しく指を動かし中を掻き混ぜてやる。 「ぅぁあ?!や、まっ、あああっ」 「気持ちいいですか、エリオットさん…」 「あんっ、あ、やだ、イく…!」  指を強く締め付け一際大きく体を痙攣させると、反り立っているエリオットさんの物から白い液体が飛び散った。腹を汚す姿が官能的でうっとりとしてしまう。数回痙攣してから脱力し、荒い呼吸を繰り返すのを見届けから、吐き出された欲望へ顔を寄せた。  ツンと鼻につく青臭いにおい…一切前は弄らずに、後ろだけで達してくれた証拠品…嬉しい、可愛い、好き…好きすぎて、食べてしまいたい…。  その欲は抑えきれなくって、うっとりとしたまま飛び散っている白い液へ舌を伸ばした。  ◆  邪魔だった衣服はとうに剥ぎ取って、床へと投げられている。両足を開き、僕を待っているエリオットさんの間へと収まると、再び上を向いて猛っている所へオイルを垂らした。  一度達したはずなのに勢いは衰えず、赤く腫れ上がっているそれにテラテラしているオイルが伝っていく。重力通り下へと落ちていけば、やがて終着点である窄まりにまで纏わり付く。今か今かと待ちわびているのだろうか…その窄まりはぱくぱくと動いて、オイルを食べいった。  そんな光景を見ているだけで、僕自身の物も反応を示して痛い。早くそこへ入りたいとせがんでいるようだ。 「リオ…」  待ちきれないと急かされ、コクリと喉が鳴る。分かりましたと頷いてから、主張している自身へ手を添え、窄まり目掛けて腰を進めた。  前回ここへ入れようとた時は、焦りすぎてなかなか入らなかった。慎重に、落ち着いて…きちんと手順を踏んだ今回なら、大丈夫。  先端が穴へと密着すると、襲いかかってきたのは暴れ出してしまいたい衝動。ふーっと息を吐き出して押さえる。肺の空気を全部吐き出してから、ゆっくりと腰を進めれば…意外にも、簡単に先端がエリオットさんの中へと入り込んでいった。 「んぅ…!」 「ごめんなさ…!」 「ぁっ、いいから…ッ、全部入れろ…!」 「はい…!」  堪えるような声に慌てて止めたら、エリオットさんに催促をされる。慎重に動きを再開させると、ぐぷっと言う音と共に僕自身が飲み込まれていく…。  エリオットさんの中はとても熱く、指の時と同様に纏わり付いてきた。離さないと言わんばかりに絡みつかれてしまって、これ以上進めないんじゃ無いかと不安になりながらも、言われた通りにゆっくり差し入れてみると、奥へと掻き分けて入り込んでいける。  根元まで全部入りきれば、結合箇所は既に互いの肌がぴったりと触れあい熱い。腰全体が熱くて蕩けそうで…これが、性行為なんだ…。エリオットさんと、本当にやってしまったんだ…。  うっとりと繋がっている所を凝視をしていたのがいけなかった。  突然、熱く僕の物全体を包み込んでいた内側から、締め付ける圧迫感が襲う。 「ひゃあ?!」  きゅっと締められ、電気が走ったような感覚のせいで反射的に声が上がる。経験した事の無い快感に驚いているにも関わらず、締め付けた状態で軽く動かされ、扱くような追い打ちがかかった。  どうしよう、ゾクゾクが止まらない…!震えだしそうなのを、目を閉じ、歯を噛みしめ必死になって耐えてたら、腰へ何かが纏わり付く感触がした。  この状態で纏わり付いてくる物なんか一つしか無い。目を開ければ、それはやっぱり白くて長いエリオットさんの足だった。 「何にも分かりませんって顔してるくせに、やっぱオトコノコだな」  お尻へ男性器を挿入されている様には到底見えない、くすくすと…いや、ニタニタと笑っているエリオットさんの表情。なんでそんな余裕なんだ…!  それに対し、きゅっともう一度中を締め付けられて、僕は声を上げてしまう。ゆさゆさと腰を動かされて、気持ちよさに溶けてしまいそうだ…。 「あっ、も、もぉ…ッ、動きますよ…!」  宣言してから、細い腰を掴みゆっくりと自分の腰を動かし出す。最初は少しだけ引いてから戻して、徐々に引く距離を離して行って…動かす度に熱くて柔らかい中が絡みついてきて、今までやっていた行為と比べものにならない程気持ちが良くて…だめだ、考えられなくなってきた… 「リオ、んっ、はげし、ぃ…ッ、あん…!」  気づけばエリオットさんの体なんて気遣えるわけも無く、本能のままに腰を振っていた。自身の一番太い所が引っかかるぐらいまで引いてから、再奥を目指し一気に突き入れる。柔らかな壁を何度も突っつけば、エリオットさんからは聞いたことも無い高い声が上がった。 「ふっ、はぁ…!すごい…!」 「あんっ、あッ、きもち、ぁあ!」 「エリオットさん…、エリオットさん…!」 「~~~ッツ! あああ、もっ、まぁあだめぇ…!!」  首を左右に振るエリオットさんは泣いていて、申し訳ないと思う。本当はもっとゆっくりとしたいけれど、快楽に負けてしまい、どうしても腰が止められない…!  息が上がるのも構わず激しく腰を打ち続ければ、自分の限界が近づいてくる。ダメだ、出そう…出そうなんだけど、刺激が後少し足りない…!  もどかしくて、快感を求めエリオットさんの更に奥へと突き入れる。 「ああッ、やめ、ぁああッ、リオ…!リオぉ…!」 「うぁあ…、出ちゃう…!」  ごつっと壁へ打ち当てると一拍遅れて今まで一番強く締め付けられ、弾ける。  どくどくと体中が脈打っているのを感じて、力が抜けて…ぐったりとエリオットさんの胸へ倒れ込んだ。  彼も同じタイミングで達したせいか、耳元でも激しい心音が聞こえて、どちらの脈打っている音なのか分からない。 「はー…すげー…ナカあっつい…」 「ごめん、なさ…中に…」 「ん…っ、いーの、リオのナカ出しは好きだよ」  蕩けきった声でなんて事を言うんだこの人は…恥ずかしくて頬へ熱が集まっていく。そんな情けない顔を見せたくなくて、胸へと顔を埋めるとわしゃっと頭を撫でられる。  僕の事なんてお見通しのエリオットさんは、くすくすと笑い声をあげた。 「リオが可愛いせいで、まだ足りないんだけど」  頭を撫でていた手が止まると、突然体が反転する。背中に感じるシーツの感触と、覗き込んでくるとろりとしたエリオットさんの顔。  今度は俺の番と口の端を舐めたのを見て、襲いかかる快感に耐えるべく、すぐに視界は真っ暗になった。 「あんっ、あっ、深ぁ…!」  ぐぷっと言う音を立てながら僕の腫れ上がっている物がエリオットさんにゆっくりと飲み込まれていくのは何回目だろうか…上から跨がったエリオットさんは、腹へ手をつくと夢中になって腰を沈めた。  体勢のせいで、さっきよりも奥まで入り込んでいて…気持ちが良い…少しだけなら、許されるかな…腹の上で上下に動いているエリオットさんを抉るように、腰を持ち上げてみる。 「あぁ?!っ、こら!今度は、俺が動くっつっただろ…!」  エリオットさんに軽く腰を叩かれ、怒られてしまった。好き勝手に動いてしまった前科があるんだ、今は我慢だ…!息を大きく吐く僕を見て、満足げ笑うと律動が始まる。  僕の物を自分の好きな所へ擦りつける姿は、とてつもなく官能的だ。それなのに、動かしたいのを必死に我慢してただ見ているだけだなんて…こんなの拷問に近い。  速度を上げていくエリオットさんが、切なげに目を閉じて眉を寄せたのを確認してから、腹に張り付いている物へと静かに手を伸ばした。今までに出した液体と、まさに溢れ出ている透明な液体とでべとべとになっているそれは、予想以上にねばつている。  動かしてない、腰は動かしていない。だから、これぐらいは許して…! 「んぁあッ、おい!あぅ…ッ!」  驚いて目を開けたエリオットさんが文句を言ってくるよりも前に、扱いてしまえばこちらのもの。手で触る経験は多いから、どこを触れば抵抗できなくなるのかぐらいは把握している。  負けじと僕の猛っている物を包み込んでいる力を強めてきたけれど、ここで手を離せるものか…! 「ここ、好きですよね…?」 「ふぁ…!」  先端部分を爪先で軽く引っ掻く。びくびくと震えるだけで、すっかり動きが止まってしまったエリオットさんに代わり、手淫をしながら腰を突き上げれば、堪らずと言った声があがる。  崩れ落ちそうになるのを耐えるように上を向き、今度は腕を背後へと付く。達するまで後少し…!喘ぎながらがくがく揺さぶられるエリオットさんだったけれど、寸前の所で、擦り上げていた僕の手を叩かれた。 「はっ、んぁ、ダメ、つってんだろ…!」  薄く開かれた金色と視線が合うと、ニヤりと口の端をあげられる。人の悪そうな顔に嫌な予感が過ぎり、それは見事に的中する。  意図的に力を入れた腹部のまま、エリオットさんが再び自分で動き出した。荒っぽい動きにベッドが軋み、壊れそうな音をたて始めるけれど、そんな事では止められない。 「ゃっ、ひゃ、あぅう…!」 「あっ!あああ、奥すご…ッ!」  根元から持って行かれそうな程の快感が襲う。皺になるぐらいシーツを固く握りしめて目を閉じる。きもちい…すごい、きもちいい…蕩けていく頭ではそんな事しか考えられない。  ああ、ダメだ、また吐き出してしまいそうだ…! 「あっ、イく!イっく、ぁあああ!!」  爪が太ももへと食い込み、チリっとした痛みが走る。けれど、それよりも強い刺激が下半身を襲い、僕の体は痙攣しながら腰が跳ね上がった。出したばかりなのに、もう一度エリオットさんの中へ僕の欲望を吐き出してしまった…。  大きく息を吸い込み呼吸を整える。そんな僕の上でうずくまるようにしていたエリオットさんは、覚束ない動作で入り込んでいた物を抜き取った。 「んあ…、」  栓が外れた穴から白い物がこぼれ落ち、シーツに染みを作りながらこちらに背を向け、隣へと倒れ込んだ。  視線は自然とエリオットさんの、白い背中から臀部にかけてを追いかけて…とろりとしたものが溢れ出てくるのを目撃し、その光景に欲情をしてしまう。 「あったかいの出てる…」  この人は僕の状況を知っていて言ってるのだろうか…。小さく聞こえたのは独り言だったんだろうけれど、僕の耳にまでしっかりと届いている。  ゆっくりと起き上がり、ぐったりしているエリオットさんの引き締まったお尻へ手を伸ばす。吸い付くような肌は触り心地が良い。 「…栓しましょうか?」 「え…?」  振り返れば、彼の焦点の合っていない目に、にこっと人の良さそうな笑顔を浮かべている僕が写り込んでいる。  表情を崩さず、横になっていたエリオットさんの体をうつぶせへと体勢を変えさせた。腹の部分へ腕を入れ持ち上げれば、膝を立ててくれて、こちらへ白い物が溢れ出ている場所を突き出すような形になる。  そこまでされれば、ぼうっとしていても察しは付いたらしい。肘をついて上体を上げた彼は、後ろを振り返りつつ、弱々しく首を振った。 「や、まって、リオ、おにーさん、ちょっと体力が…」 「ですよね…」 「だから、固定してる手を、」 「でも、ごめんなさい…!」  既に僕自身は硬さを取り戻している。そそり立つそれを、白い物を零しながらぱくぱくさせていた窄みへと宛てがい、一思いに挿し入れる。  そうすれば、エリオットさんの背中が弓なりに曲がった。 「んああ…!ほんっ、と、ムリぃ…!」 「大丈夫ッ、はっ、任せて下さい」  意識を直に内蔵へと触れている場所へ集中させ、得意の治癒を発動させる。  いつもしているようなゆっくり魔力を流し込むのではなく、全開の力で流し込んでやれば、相手の体が今までに無いぐらい大袈裟に震えた。 「あ゛あ゛ぁああ…!!やら、や、ぁああああ!」  途端に上がる喘ぎ声の大きさは比べものにならない。動いていないのに、僕が入り込んでいるだけで快感を拾ってしまうようで、エリオットさんの体は震えっぱなしだ。 「なに、これぇ?!んああ、ごりって…!しゅご…!」 「うごき、ますよ…!」 「あんっ、あああんッ」 「あっ、すごい…きもち…!」 「やぁあ、もっとぉ、ごりゅってぇ…!」 「ここッ、ですか?」 「ああんっ、それ、ひもちぃッ、ぅあああ、~~~ッ!!」  卑猥な水音と、パンと言う乾いた音を立てながら激しく腰を打ち付け続けていると、呂律も回らなくなってしまったエリオットさんからひたすらに上がり続けていた喘ぎ声が途切れた。仰け反り口を開けたまま、彼の下のシーツにぱたっと液体が飛び散る。  また達してしまったんだと分かったけれど、エリオットさんの締め付ける力が強くて…!僕も限界が間近なせいで、逆にもっと激しく揺さぶってしまう。 「りお、イってる!イってるのぉ…!」 「ッ、ごめ、なさ…!ぁ、エリオットさんッ、」 「ぐっ、あ゛ぁっ、んー!」 「でそ…!」 「ふぁ、ああああ!らして…!りぉ、ナカ…!」 「うぁっ、あッ、!」 「ん゛ッ、ああああ!!!」  頬をベッドへ擦りつけるようにして大きく痙攣をするエリオットさんの希望通り、欲望の塊を彼の再奥に叩きつける。  僕自身の震えも止まらずに、数回に渡って奥を抉るようにして流し込んだ。 「はっ、はあぁ…りお…すき…しゅきぃ…」  腰だけを突き上げている状態のエリオットさんから聞こえる、虚ろな声。  朦朧としている意識の中で告げてくれている思いは、本心からの言葉だろう。取り繕う事も無い、エリオットさん本来の姿で伝えられる言葉が、嬉しい。 「ぼくも、です…エリオットさん、だいすき…!」  背中に覆い被さるようにして倒れ込み、汗ばんでいるそこへキスを贈りながら返事を返せば、綺麗な年上の彼は、だらしない顔のまま、やっぱり嬉しそうに微笑んだ。

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