4 / 6

おまけ1-3

群青に染まる闇はひっそりとしていて、虫の音ひとつ聞こえて来ない。 閉じられた障子戸の隙間を縫う様に、ジジジと畳に伸びた行灯の影が揺れた。 「あっ・・うっ・・ぐっ・・」 とぷんと生ぬるい熱が容赦なく注がれる度に額から脂汗がじっとりと浮かび、小山田の顎がガクガクと震えている。 まるで蛇が這いあがって来るような感覚。 腕から手首にかけてぶるぶると痺れる腕をどうにかして止めようと思うものの、せり上がって来るこの感覚からはどうにも逃れることが出来ないままだ。 「あっぐっ・・んっ・・ぐっ・・」 微かに開いた唇がぶるぶると揺れ、時折唇の端からはツーっと蜜が垂れていく。 それを拭う余裕も見せないまま、彼の指だけが救いを求めるように眼前に座す里山の着物を掴んだ。 「もう少し。我慢しろ」 「うっ・・ぐっつっ・・・・・やっ・・だっ・・」 両腕を胡座の姿勢で受け止めているのは里山だ。その彼の前で四つん這いの姿勢のまま、腰を浮かす小山田の背後では、先程から加賀見が注ぎ口の細長い銚子を片手にゆったりと寛いでいる。 だが彼の持つ銚子の行き先は猪口ではなく、小山田の方に向けられたままだ。 「・・・・・・」 ゆったりとした動作で、自身も猪口を口に傾けながら温い酒を含み飲み干すと、喉を滑るように酒が入り、同時に口の中が熱燗独自のふんわりとした甘い香りで満たされていく。 その酒をトクトクと注ぎ込みながら、ちろりと小山田の方に視線を向けると、苦悶の表情を浮かべながら口を結ぶ彼の太腿が視界に入った。 鳥肌がうっすらと浮かぶ肌をそのままに俯く彼の表情を、加賀見からは窺う事が出来ない。 「・・・うっ・・・」 「もう少し力を抜け。でないと辛いぞ」 「そっ・・そんな事をいわれて・・もっ・・ううっ・・」 乱れた襦袢もそのままに、腰を浮かし秘部を加賀見の前に突き出すような姿勢で、先ほどから、小山田は彼の持つ銚子から注がれる酒をじっと受け止めている。 固く閉じられた蕾に銚子を突き刺すような仕草で、加賀見はゆっくりと温い酒を彼の中へと注ぎ込んだ。 温い酒を注ぎ込まれる度に蕾の奥が異物を吐き出そうと動き始めるが、それをせき止めるように銚子の先がずっぽりと納まってしまっているせいで、どうにも身動きが取れないままだ。 「・・んっ・・」 「あまり力を入れない方が良いぞ。抜いた方が楽になる」 そう話す加賀見の声は何処か熱を帯びていて艶っぽい。 銚子を蕾に注ぎ込む様をジッと眺めれば、酒を受け止める彼の蕾がひくひくと震え、同時に足の指が幾度も畳を掻いていく。 その様子に口角を僅かに上げながら、加賀見が小山田の内股をさわさわと撫でると、びくびくと彼の腰が左右に揺れては蕾が締った。 「ほら。もっとだ」 「・・・んぁ・・もっ・・おゆる・・を」 そう告げる小山田の声は里山の腰に伸びていて、表情までは伺うことが出来ない。 その仕草をジッと黙って眺めながら、里山が何度も彼の後ろ髪を掬う様に撫で上げている。 その指が何処か心地よくて、里山に身体を預けながらゆっくりと小山田が瞳を閉じかけた瞬間、しゅるるっと衣擦れの音が微かに響いた。 「あっ・・!」 「こうしなくては見えないだろう?」 そう加賀見が言う。 里山の手伝いも重なって襦袢も全て剥ぎ取られ、全てを二人の前に曝け出されながら微動だにしない小山田の内腿を何度も加賀見が優しく撫で続けている。 最初はすべすべだった肌もしっとりと熱を帯び、微かに桃色に染まっていった。 「・・・ふっ・・んっ・・」 「こんなものか・・」 ゆっくりと注がれる酒は温く、同時に不快感しか生み出さなかった筈の感覚が少しずつ変化を告げたのは、銚子が離れてホッと息を吐く小山田の隙を突くかのように、加賀見が自身の中指を挿れて暫くが経過しての事だった。 先ほどまで酒を受け入れていた蕾にゆっくりと指が沈み込んでいく。

ともだちにシェアしよう!