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《二人の朝》

ピピピピッ! 携帯電話のアラームが鳴り、目を覚ます。 「あずまさん、おはようございます」 「ん…、朝か…おはよう」 まだ眠そうなあずま。 目をこすり、すぐ隣にいるスポーツマン体格の若者を見上げながらぼんやり応える。 癖っ毛の髪が、寝ぐせで跳ねていてなんだか可愛い。 抑えられなくなって… 「あずまさん!」 ぎゅっと華奢な身体を抱きしめてしまう。 「おい、敬大くん!苦しい!」 「あ、すみませんっす、朝起きたらあずまさん居るから嬉しくて」 「はは、久しぶりに熟睡できた、ありがとう」 また可愛い笑顔。 「まだ寝てていいっすよ、俺ジョギングいくんで早く起きるんす」 「いや起きるよ」 そう言うと、ゆっくり起き上がるあずま。 「はい、おはようございます」 改めて挨拶してみる。 「あぁ、おはよう」 優しい笑顔で返してくれた。 「あずまさんも走ります?」 寝癖を片手で直してあげながら誘ってみる。 「いや、体力がないから敬大くんの足手まといになる、気にしないで行っておいで」 「じゃ、戻るの待っていてくださいね」 「あぁ」 「行ってきます」 「行ってらっしゃい」 優しく微笑んで、手を振りながら送り出してくれる。 いつものランニングコースを回る。川沿いはだいぶ水かさが下がってきていた。 「ただいま、あ、髪切ったんすね」 ジョギングを終えて戻ってくると、肩まで伸びていたあずまの髪が、肩より上くらいに短くなっていた。 「お帰り。少し長く伸び過ぎていたから、まとめて切ってみたが、紙切りバサミで切ったから雑だけれど」 確かに、自分で髪を掴んで切った為か毛先はバラバラで不揃いな髪が天然パーマでウェーブががっている。 「床屋行きます?お金貸しましょうか?」 「いや、また伸びるし大丈夫だから」 「じゃ、大学から帰ったら、毛先だけでも揃えてあげますよ、あと髪染めも」 「いや、大丈夫…」 「いいからいいから!とりあえず奥入りましょ」 「あぁ、」 断るあずまをなだめながら、肩を抱き部屋の中に入る。 玄関入ってすぐにトイレバス洗濯の水廻り。短い廊下の先に添え付けキッチンと6畳ほどの一部屋、一般的な1Kのアパートだ。 奥の窓側にベッドを置き、手前に小さなテーブルとテレビを添え付けている。 部屋に入るとあずまは、洗って乾かしてあるハサミを指差して… 「それで、このハサミと水を少し使わせてもらったから」 「あぁ、いいっすよ、つかいちいち報告しなくても大丈夫っす」 律儀な様子にそう伝える。遠慮しなくても大丈夫。

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