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《働きたい》

次の日も敬大は日課のジョギングを行い、大学へと出かけて行った。 留守番をと言われたあずまだが… 「……」 敬大くんに髪を染めてもらい、服も自分も綺麗にしてもらった。 これは、やり直すチャンスかも知れない。 敬大くんには、忘れかけていた、人の優しさと温もりをたくさんもらった。 だから、 「少し勇気を出そうか」 仕事を見つけて、ちゃんと恩を返したい。 向かった場所は、職業安定所。 なんでもいい、仕事を探そう。 しかし、 「やはり住所不定ですと難しいですね、履歴書に空白の期間が長過ぎますし、保証人は立てられませんか?」 「独りなもので…」 そう易々と仕事は見つからない。 「定住がなく障害も両手にあって、年齢的にも…すぐに職につくのは厳しいと思います…まずはこちらのホームレス支援の事務所に行ってみては?」 「そこは…」 「どうかしましたか?」 「いえ、行ってみます」 普通に仕事を探しても見つからない。 けれど、勧められたホームレス支援所は、良い思い出がない。 けど頑張って職を探すと決めたのだから、そんなことは言って居られない。 なんとしても仕事を… 裏路地に入っていき、錆びれた事務所が見えてきた。 日雇いの仕事を求めてホームレスやフリーターが集まる場所。 事務所前にも数人壁に寄りかかって仕事の情報が入るのを待っている。 皆一様に苛立っていて、あずまは俯き目を合わせないように、足速に事務所へ入っていく。 「で、仕事が欲しいって?」 「はい、何でもいいんです」 「外を見ただろう、あれだけの人間が、仕事を求め待っているんだ、両手が使えないお前が出来る仕事はない」 「多少不自由ですが、両手は使えます、何でもいいんです仕事を、」 「使えるだけじゃ駄目なんだ、仕事を舐めてるのか!そんな手じゃ重いものも担げない、料理も出来ない運べない、組み立て作業も人並みのスピードで出来ない、分かっただろ、お前に回せる仕事はない」 「配達なら、新聞の」 怒鳴るように言われてしまうけれど、なんとか仕事が欲しい。地道にでも出来る仕事。 「そんな簡単な仕事がここに来ると思うか?」 「……」 「最初から言っているだろう、お前に回せる仕事はないんだ、帰れ!」 面倒くさげに追い返される。

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