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《終わりの時》

あずまと出逢って一ヶ月が過ぎた頃。 突如、二人の生活を脅かす出来事が起こる。 ある晴れた日曜の朝。 二人だけの住処へ、合鍵を使って侵入してきた人物たち。 敬大の両親だ。 敬大がちゃんと一人暮らしができているのか、田舎からこっそりと確認にしたのだ。 早朝、玄関から入って、ベッドで寝ている敬大を確認する父と母。 そこには、敬大と 、奥にもう一人寝ている人物が…。 「え!?敬大、誰なんだ?」 「え、敬大と女の子?」 「ん…、え!?母さん!父さんも!?」 聞き慣れた声に眼を覚ます。 眼をこすり声の主を確認してさらに驚く。 「様子を見に来たんだ、ちゃんと一人で生活できているか…」 「来るなら連絡して来いよ!」 「抜き打ちで生活を確かめようと思ったんだ」 父親は信じられない様子で続ける。 「まさか女と寝ているとは思わなかった」 「ちが、この人は男だよ、鼓あずまさん」 「男?」 「どういうこと!?」 「あー、もう、家がなくて困ってたから泊めてあげてるだけ!」 「はぁ?」 「あずまさん、起きて!」 ぐっすり眠っているあずまの肩を揺さぶって起こす。 「ん…、敬大くん?おはよう…どうかした?」 まだ眠そうなあずまに申し訳なさそうに伝える。 「ごめん、親が来て」 「え、っ!」 慌てて飛び起きるあずま、長めのくせっけ髪を手ぐしでときながら布団から出て挨拶する。 「す、すみません、敬大くんにはお世話になっています、鼓按司眞です」 「……っ」 両親とほぼ同年代のあずま。 両親はあまりの出来事に言葉を失う。 「…っ」 「ちょっと来なさい、」 母親は敬大の腕を引き、玄関まで引っ張っていく。 「あの方はどこの人?」 「なんで一緒に居たんだ」 外に出て、矢継ぎ早に両親が問い詰める。 「別にどこだっていいだろ、家がなくて寝るところに困ってたから」 「家がないってホームレスか!?」 「都会で何があるか分からないのに、あんな怪しげな人と関わりになって、今すぐ帰っていただきなさい」 「あずまさんは怪しくなんかないし、いい人だから」 「そんなの分からないだろう!もし騙されたら…」 「本当にそんな人じゃ無いんだ」 いい人過ぎて辛い目ばかり遭ってるくらい… しかし、そんなことは両親には分からない。 「じゃ、どういう人なのか説明して、仕事はしているの!?」 「だから、」 うるさげに言い返そうとした時…

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