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《また逢える》

路地を曲がってしばらく先を歩いているあずまを見つけ、駆け寄り呼びかける。 「あずまさん!待って!!」 「敬大くん…」 振り返るあずま。 「ごめん、本当にッ」 「いや、君には充分すぎるほど世話になった、そろそろ出て行く時が来たんだ」 「出て行くなんて言うなよ!」 「ありがとう、親御さんに心配はかけられないだろう」 「関係ないよ!」 「…敬大くん、私のせいで親御さんとの関係が悪くなるなら、私はとても悲しい」 「……あずまさん」 「ちゃんと親御さんには謝ってくるんだよ、あの方たちは間違ったことは言っていない、他人を泊めることは危険な行為なんだ」 「他人って…」 「敬大くん、ご両親を大事にするんだよ、私にはもういないから」 「あずまさん」 「さ、冷静になって、親御さんに話しておいで、君は悪いことはしていないのだから、ね、今は一度戻りなさい」 そっと頭を撫でて落ち着くように頷き、答えを促す。 「…分かった」 「うん。とりあえずは、南の三角公園に行く、またすぐ会えるさ」 その表情は優しく微笑んでいた。 「公園、」 「さ、心配をかけてはいけない、早く親御さんのところへ戻りなさい」 「…じゃ、今日夜会いに行く、待っててくれよ」 「あぁ、ありがとう」 最後までお礼を言いながら、あずまは去って行った。

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