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《喪失感》

大学もバイトも休みで、今日は一日、あずまさんと過ごせる予定だったのに… 突然やってきた両親と買い物に行って、ご飯を食べた。 あずまさん、ご飯食べれたかな…ほとんどお金持っていなかったから。 朝食用のパンだってそのまま… あずまの名前の書かれたパンが冷蔵庫には残っている。 名前を書いていないとあずまは遠慮して食べてくれないから… 両親が帰ったら、公園に逢いに行こう。 あずまさんに何か食べ物を買っていこう。 それで、またうちに呼んで、元どおりだから… しかしーー。 約束の場所に、あずまが現れることはなかった。 「あずまさん!?あずまさん!!どこだよッ!!」 公園内を呼んで探すが、見つからない。 深夜まで待ったけれど、あずまは来なかった。 帰宅して、風呂に入ろうとして浴室内の壁にメモが貼ってあることに気づく。 敬大くんへ 君と出逢えて私は幸せだった。忘れかけていた人の温かさ、優しさに触れることが出来たから。君は一人の人間を幸せに出来たんだ誇りに思って生きてくれ。君のことは一生忘れない。本当にありがとう。元気で。鼓按司眞。 なんだよこれ… まるでさよならみたいじゃないか… すぐ逢えるって言ってただろ! 次の日も、次の日も… あずまの姿はどこにも見当たらなかった。 あの日以来、彼は忽然と姿を消してしまった。 俺があげた歯ブラシもあずまが持って行って… この部屋に、あずまがいた痕跡は何一つ残っていない。 こんなに繋がりが希薄だったなんて…携帯電話なんかなんの役にも立たない。 食べるのにも困るほど、お金がないんだ、歩いて移動できる範囲にいるはず。 毎日ランニングコースを変えて、あずまを探して回った。 けれど、一向に見つからない。 もう一度逢いたい、あの笑顔に触れたい… その願いは空回りで… なんで、 またすぐ逢えるって言ったじゃないか… どこ行ったんだよ! あずまさん!!

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