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 日向の机は窓際の後ろから二番目で、椅子へと座り窓から見える校庭の景色を眺めながら、ついさきほど出来たばかりの友達の事を考えた。  中学までのほとんどの期間を学校へは通えずに過ごしていたため、友達と呼べる存在が出来たのは初めてのことで、嬉しくてつい頬が緩みそうになってしまう。  ――ちゃんと友達になれるかな。頑張ろう。  心の中で気合いを入れて教室内へと目を向けると、こちらを見てたらしい数人のクラスメイトが慌てた様子で目を反らした。  なにか変だったのだろうかと不安な気持ちになるけれど、前方のドア付近で誰かと話していた亮が、こちらに向かって笑顔で手を振ってくれたから、日向も慌てて手を振り返す。  そんな何気ないやり取りに、胸が温かくなるのを感じて視線を少し動かすと……。 「あっ」  思わず、息をするのを忘れそうになった。  廊下側、一番後ろの席に北井浩也がいたのだ。  以前はかけていなかった眼鏡をかけ、表情も体格もだいぶ大人びているけど、間違えようがないその姿に日向の胸は大きく脈打つ。  ずっと会いたかったけれど、会えないと諦めていた人。  彼は「日向」を知らない。  何人かの友人に囲まれシニカルな笑みを浮かべる彼は、知っている過去の彼とは違い、日向は僅かな違和感を覚える。  ――あれから五年経つんだから変わって当たり前だ。僕のことは忘れてるだろうし、覚えててもそれは僕じゃないから……。  今は何より再び会うことができて嬉しい。  これから……最初からまた友達になれたらいいと考えた日向は、高まる気持ちを静めるためにギュッと手のひらを握りしめる。  あまり見ていると不自然だろうと視線を窓の外へと移し、考えに耽りはじめた日向は、自身の背中へ向けられている浩也の視線に気づかなかった。
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