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ホームルームが終わったあと、亮に誘われて途中まで一緒に帰ることになった。
そこで亮の幼馴染みの織間佑樹を紹介され、今は日向を真ん中にして3人で歩いている。
左側を歩く佑樹の身長は、日向より少し高いくらい。体つきは華奢に見えるが、気の強そうな大きな瞳が印象的で、かなり整った顔をしていた。
「受験組で特進って外部入試始まってから初めてだって先生言ってたじゃん。日向すげぇよ」
爽やかな笑顔の亮に誉められ、嬉しい反面恥ずかしくなって日向はつい俯いてしまう。
こんな時、なんて答えればいいのかが分からない。
焦って口を開いてみるけれど言葉が出なくて困っていると、
「ねえ日向、顔赤いよ。照れてるの?」
佑樹に問われ、顔を上げれば悪戯っ子のような笑顔でこちらを見るから顔へと熱が集まってしまう。
「日向はさ、かわいいから気をつけなきゃダメだよ」
「僕?」
驚いた日向が尋ね返すと2人が同時に頷いた。
「かわいくなんて無いよ。2人に比べたら全然普通っていうか、地味だと思う」
思った事を口にすれば、佑樹が呆れたような顔になる。
「それ計算? ってことは無さそうだね。無自覚かぁ。これからいろいろ大変そうだね、亮」
「ああ。そうだな」
「あの、それってどういう……」
答える亮の表情が困っているようにも見えて日向は動揺してしまう。
「こっちの話だから気にすんな。せっかく友達になったんだから楽しくやろーぜ! なっ?」
そんな日向の心を読み取ったかのように、亮が頭へと手を乗せてきてヨシヨシといったように撫でた。
「俺も今日から友達ね」
佑樹にも頭を撫でられ、なんだか子供扱いのような気もするけれど、嬉しくて日向は頷いた。
今日会ったばかりだが、2人の側は居心地が良くて自然と肩の力が抜けていく。
「あっ、僕そこの信号左です」
「俺達まだ真っ直ぐだ。じゃあここまでだな」
「はい。亮くん、佑樹くんありがとう。本当は凄く心細かったから、声をかけて貰えて凄く嬉しかった」
素直な気持ちを笑顔で告げれば、2人が照れたように微笑む。
「入学したばっかで分からない事もあるだろうけど、困ったら俺達に相談しろよ」
別れ際亮にそう言われ、
「ありがとう。また明日」手を振りながら答えると、
「また明日な!」
「また明日ね!」
手を振りながら見事にハモった亮と佑樹の声に思わず笑みがこぼれた。
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