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 *** 「日向って、男同士の恋愛に拒絶反応ねーのな」  暦は六月となり、学園生活にも慣れてきた頃、いつものように亮と佑樹と三人で昼を食べていた日向は突然の亮の発言に驚き、箸でつまんでいた唐揚げを落としてしまう。 「そうかもしれない。変かな」  素直な気持ちを伝えると、聞いていた佑樹が吹き出した。 「変だなんて思わないよ。ホント亮は直球過ぎ。ここでは初等部からずっと男ばっかりで、俺らもそういうのには慣れてるから気にしたこと無いけど、日向は外部受験だから意外だったんだ。何回か告白受けてたみたいだけど引いてる感じでもないし」 「ごめん。言い方がまずかった」  亮に謝られそんなこと無いと日向は首を横に振る。 「僕、恋愛のことはよく分からないけど、一緒に住んでた叔父さんの恋人が男の人で、二人がとっても自然だったから、あまり男同士とかは気にならないのかも」 「誰かと付き合おうとは思わないの?」  佑樹に聞かれ、首を傾げる。 「僕を好きだって言ってくれる気持ちは嬉しいと思うから、ちゃんと考えるようにはしてるんだけど……中途半端な気持ちで付き合うのは相手に悪いし」 思った事を口にすれば、 「日向はそれでいいと思うよ。ちょっと危なっかしいけどしっかりしてるし」  言いながら……佑樹が頭を撫でてくる。 「まあ基本お坊っちゃんばかりだからあまり心配ないけど、しつこくて困ったら言えよ」  亮に笑顔で告げられて、日向はコクリと頷いた。 「にしも、佑樹は日向に触りすぎだ」  まだ日向の頭を撫で回していた佑樹に向かって亮が言うと、 「なに? 焼きもち? 亮は男に興味ないんだろ。だって日向の髪、サラサラで気持ちいいんだもん」 即座に佑樹が切り返す。 「お前も興味なんてないだろ? そろそろ止めとけ、周りの目が痛い」  亮の言葉にようやく佑樹が手を離し、日向が少し乱れた髪を手で直していると、 「興味なくなんて無いよ」 小さく呟く声。    弾かれるように佑樹を見ると、口端を上げてシッーっと人差し指を立てた佑樹の綺麗な顔があって、日向は何も言えなくなった。  なんだか落ち着かない気分になり教室内へと視線を向ければ、やはり逸らされる幾つかの顔に、二人からは気にするなと言われてはいるけれどもちょっと落ち込む。  やがて、日向の視線はそれとなく廊下側の後方へと向けられた。

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