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「手、離すから自分でやってみろ」  それでもなんとか頑張っていたが、浩也が頭から手を離した瞬間、目の前がグラリと歪んだ。 「っひっっ!! 」  衝撃に、声にならない悲鳴があがる。体が崩れ落ちた拍子に、棍棒が……更に数センチ後孔内へと入り込み、痛みに悶え水揚げされた魚のように跳ねた体は、浩也の足元に倒れこんだ。 「あぅっ!」  無意識のうち、身を守るように背中を丸める日向の姿を、少しの間見ていた浩也だが、 「まだ10分も経ってない」 と冷たい声で言い放つ。 「…… すみません、ごめんなさい」  浩也の望むことが出来ない自分がすべて悪いのだと、ぼんやりとした意識の中で日向は考えてしまっていた。 「まあ、初めてだから仕方ないか 」  そう言いながら立ち上がると、浩也は日向の側に膝をちき、アナルの中から棍棒を乱暴に引き抜いた。 「いうぅっっ! 」  排泄の時と似た感覚に、体中へと鳥肌が立つ。まるで涙腺が壊れたかのように、目からは涙が溢れ出した。 「俺は相手を痛め付けないと、興奮できない性質(たち)なんだ」  腕を縛っていた紐を、外しながら告げてくる浩也に驚き日向は息を飲み込む。 「嫌ならここで止めてもいい」  言われて日向は戸惑うが、すぐに首を横へと振った。 「…… もっと頑張りますから、止めないでください」  伝える声は頼りないものになってしまったが、浩也には聞こえていたようで、 「いいんだな? 」 念を押されまた頷く。  経験の無い日向にとって辛い事ばかりだが、浩也が自分を切り離すために酷くしたわけじゃないと思えば、少しだけ安堵にも似た感情がわき起こる。  見上げると、遠くを見ているような瞳で何かを考えていた浩也が、ハッとしたようにこちらを見て、目が合うと少し苦い顔をした。 「じゃあ続きしようか。 俺、全然気持ち良くなれてないし」  そう言われて頷くが、体が言うことを聞いてくれない。  それでもなんとか起き上がろうとするけれど、なかなか動き出せずにいると、浩也が「まぁ、仕方ないか」と呟き日向を抱き上げる。

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