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「…… うぅ」  目を覚ました日向は呻いた。  手足の関節がうまく動かせず、後孔の中がズキズキと痛む。  恐る恐る周りを見ればベッドには自分一人しかおらず、暗い部屋には先程とは打って変わった静寂が漂っていた。  ――終わったんだ……。  安堵感に力が抜け、涙が一筋頬を流れ落ちる。どれくらい時間が経ったのかは分からないが、終わったのなら早く帰って自分の部屋のベッドに潜り込みたい。  今はそれしか考えられなかった。  どうにか体を起こした日向は脱ぎ捨ててあった制服を身に着ける。ワイシャツはボタンが無くなってしまっていたので、羽織って前を握りしめた。  それから、重い足を引きずるようにリビングへ移動したけれどそこにも浩也の姿は無く、日向は安堵のため息を漏らし荷物を手に取り玄関へ向かう。  途中、廊下にあるドアの奥から、シャワーを使う水音が聞こえた。  どこをどう歩いて帰ったのかも日向には分からない。  部屋へと入りそのままベッドに潜り込んだその途端、思い出したかのように体がガタガタと震え出した。  ――僕、セックスしたんだ。  怖かった。  だけど後悔はしない。  決めたのは自分自身だから……。  何度も頭の中で繰り返すが、体の震えは止まらない。  それでも少し時間がたつと混乱は徐々におさまって、ここでようやく浩也へと何も告げずに帰ってきたことに気づく。  ――どうしよう。失礼な事をしちゃった。  そう考えた時、携帯電話が音を立てた。  それはメールの着信音で、日向が時計を確認すると深夜三時を回っている。  この時間だと海外にいる章からかもしれないと思い、確認のためカバンを取ろうと立ち上がると……アナルから内股にかけて何かが伝う感触がした。 「……あ」  確認のためズボンを脱いだ日向は言葉を失った。  見れば、アナルから零れだした体液がトランクスと脚の隙間から太股の内側あたりへ伝って(すじ)を作っている。  白濁に赤が混ざっているのはきっと自分の血液だろう。

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