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 家へ帰ってくることだけで精一杯だったから、浩也が中へ射精したのだとこの時日向は初めて知った。 「シャワー…… 浴びなきゃ」  自分を落ち着かせるためにあえて声に出して呟いてから、痛みを堪えて立ち上がる。  ――そうだ。メール……。  そして、現実から目を逸らすようにカバンから携帯電話を取り出すと、章からだと疑わずにメールを開いた日向だが、次の瞬間驚愕に目を見開いた。 「……うそ 」  差出人は『北井 浩也』知らない間に登録されていた事に、驚きながらも内容を見る。 『お疲れ様 俺が中に出したやつ、ちゃんと掻き出さないと腹壊すから』  淡々と綴られている内容を読み終えた時、画像が添付されている事に日向は気付く。 「…… えっ!? 」  画像を開いたその途端、携帯を持つ指先がカタカタと細かく震えだした。  そこには全裸で必死に自分のペニスを扱く日向の姿が写っていて……。 「こんな……なんで? 」  いつの間に撮られていたのかは分からないけれど、日向の恥態を収めた写真をなぜ撮ったのか? それを送ってくる理由も分からない。  だからといってすぐに尋ねる勇気も持てず、日向は暫く茫然として動く事が出来なくな った。  七月の夜は短い。  東の空が白み始めたころ、ようやくと動きだした日向は、シャワーを浴びるため浴室へと覚束ない足取りで歩く。 「月曜日に聞こう。それまでは考えるのを止めるんだ」  自分に暗示をかけるように『考えるな』を頭の中で繰り返す。  浴室ではどうしても自分の中に指を入れて洗うという行為が出来なくて、シャワーを当てるだけになってしまったが、切れているであろうアナルはそれだけでも痛かった。  鏡に映った自分は酷い顔をしていて、最初に捕まれた肩と、縛られた手首が、痣のように赤黒くなってしまっているのが痛々しい。  ――考えちゃいけない。  そう呪文のように唱えながら、パジャマを着た日向はベッドに潜り込んだ。  体は限界をだったようで、少しすると意識が徐々に薄れていく。 『……こうちゃん 』  眠りに落ちるその寸前、遠い昔の自分が彼を呼ぶ声が……どこかから聞こえたような気がした。    第一章 終わり

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