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 なんとなく見つめ合う格好になってしまっていることに、耐え切れなくなった日向は助けを求めて佑樹を見るが、佑樹はベンチに腰を掛けたまま反対側を向いていた。  後ろから見ても彼の耳が赤くなっているのが分かる。 「佑樹くんもおめでとう。最初に話してくれてありがとう、凄く嬉しい」  声を掛ければこちらを振り向いた佑樹の顔は、やはり真っ赤に染まっていて、いつもとは違う彼の様子がなんだか可愛く思えてしまう。 「日向。これから先、俺達に変な気を遣ったりしたら許さないからね」  聡い友人はこれから先、日向が恋人同士の二人に気を使ってしまうことの無いように釘を刺してきた。 「分かってる。ありがとう」  その気遣いが嬉しくて、笑みを浮かべて答えれば、 「日向におめでとうって言って貰えて嬉しい。ありがとう」  屈託のない佑樹の笑顔を日向は初めて見た気がした。 「…… ところで、さっきのあれ、何?」  話も一段落したところでベンチへと座り、再びお昼を食べ始めると、佑樹が日向に尋ねてくる。 「あれって?」  思わず(とぼ)けてみようとしたが、許してはもらえないようだ。 「惚けてもダメだからね、何で北井と仲良くなってるの? 」 「そうそう、ヒナって呼んでたよなぁ…… 廊下にいた奴らみんな聞き耳立ててたし、今頃教室じゃ付き合ってることになってんじゃねーの? ってか俺達の知らない間に付き合ってた?」  興味津々といった様子で亮まで話に乗ってくる。 「そんなんじゃないよ。金曜日たまたま帰りがけに会って、方向が同じだったから途中まで一緒に帰っただけなんだ」  嘘は付いてないけれど、全てを話せる筈もない。 「それだけ? 」  佑樹がじっと見つめてくるのを笑みを浮かべて受け止めた。

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