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「うん、それで話すことが出来て嬉しかったから、今日も一緒に帰って欲しいって僕からお願いしたんだ」  なるべくサラリと言うように心がけて伝えると、 「そうだよなぁ…… 日向もたまには俺達以外の奴とも話さないとな。北井ならいい奴だし、変な奴に絡まれても安心だしな。一人の時は俺達と帰ろうぜ」  助け船のように告げられた亮の言葉に頷いた時、ちょうど予鈴のチャイムが鳴って日向はホッと胸を撫で下ろした。 「日向、お昼は絶対一緒だからね」  教室へと戻る途中、佑樹に言われてもちろんだよと返事をすれば、 「なにかあったら必ず相談して」 小さな声で耳打ちされた。  はっきりと言葉で告げてくる佑樹と、いつもはとぼけた感じだけれど助け船をだしてくれる亮。  本当に大切な友達だと日向は思う。  この二人の役に立ちたいといつも思っているけれど、逆に日向が二人に助けられてばかりいる。  だから、自分で決めた事に対しての泣き言だけは、決して言わないようにしようとこの時日向は心に決めた。  *** 「ふぅ…… 」  下校時間を過ぎた教室で席へと座り勉強をしていた日向は、一旦ノートから目を離し、体を反らせて伸びをした。  時刻は五時を回ったところだが待っている人はまだ来ない。  緊張を誤魔化すために、二日間家で出来ていなかった勉強をしているけれど、あまり意味は無いようで、緊張のあまり胃の辺りがズシリと重く感じられた。  窓の外へと視線を移せばこの時間の空はまだ青く、学園の隣を流れる川の土手は青々としており、そこを走る運動部員の姿が眩しくて目を細める。  空調で涼しく保たれている教室から見る外の世界は、自分には手が届かないテレビの映像みたいに見えた。

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