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――こんな事が前にもあった。
考えた途端、日向は突然どうしようもない閉塞感に囚われる。
――ヒトリはイヤだ。
急に頭へと響いた言葉に一瞬頭が真っ白になり、わけが分からなくなった日向は、外と自分を繋ぎたいという強い衝動に突き動かされ、無意識に窓へ手を伸ばしてた。
と、ちょうどその時、教室のドアが開く音が響き渡る。
「へぇ、ちゃんと待ってたんだ。ヒナ」
聞こえてきた低い声にハッと我へと返った日向がドアの方を振り返ると、入り口からこちらに向かって歩いてくる浩也の姿が目に映り、途端、今感じていた閉塞感が消え去ったから日向はホッと息をつく。
だけど近づいてくる浩也の冷たい表情に、今度は緊張で鼓動が速くなるのを感じた。
日向は浩也へ体を向けると、目の前に立つ彼を見上げて口を開いた。
「聞きたいことがあるんです」
緊張のあまり声が震える日向の様子を馬鹿にしたように、浩也は唇だけで微笑み眼鏡の位置を指で直すような仕草をした。
「何を聞きたい。写真のこと? それとも昼休みのこと?」
聞きたいことなど分かっているとでも言うような問いかけに、
「どっちもです」
と答える声は絞り出すような小さな声になってしまう。
それを意に介した様子も無く、日向の隣の席に座ると浩也は長い足を組んだ。
「俺が今日ヒナを待たせたのは、話し合う為じゃなくて教室でセックスしたかったからなんだけど」
「……っ!」
言われた言葉に声が出ないほど日向は驚き目を見開く。待たされたのはなにか話があっての事だと思っていた。
だいいち、教室でなんて出来る筈がないし、なにより受け入れる場所の傷はまだ完全に治っていない。
「俺の言うこと聞くんだろ? その質問にはヤりながら答えてやるよ」
固まっている日向に告げてくる低い声に抑揚は無いが、冗談で言っているんじゃ無い事は空気で分かる。
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