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「あぁ……ん」  初めて知る感覚に、上靴を履いたままの爪先がヒクヒクと宙を空しく蹴った。  そして、疼くような愉悦にのまれた日向の体から力が抜けたその刹那、乳首へと舌を這わせながら、浩也が手のひらで下腹へ圧をかけてくる。 「っあぁ」  ひとたまりも無かった。  緊張が解けてしまった体を抑えることができなくなり、放物線を描いてバケツへと落ちていく自分の尿を、日向はただ呆然と瞳に映すことしかできない。 「いっぱい出たな。出すの見られて気持ち良かった?」  浩也の声で我へと返った日向だが、途端に羞恥で身体中をピンク色に染めた。見られて気持ちが良かった訳ではないけど、快感を覚えてしまった自分の体に日向は戸惑う。 「まあいいや。片付けは後でしておいて」  告げたあと、隣の椅子へと座った浩也が手招きをしてきたから、日向はのろのろと机から降りた。  途端、力が抜けてガクリとその場に崩れ落ちる。  それでも、這うようにして浩也の足元へたどり着くと、優しいとも言える動きで頬をサラリと撫でられた。  日向は無意識にその掌へと頬を擦り寄せる。  ふいに離れたしまった手を見上げると、その向こう……無表情にこちらを見つめる浩也の口角が、綺麗な弧を描くようにつりあがった。 「セックス出来ないならどうするんだっけ?」 「…… あっ」  従うことに精一杯で、すっかり失念していた事を思い出し、日向は小さく声を上げた。 『口でしてもらうから』  浩也はそう言っていた。 「…… あの…口で…… 」 「覚えてた? それとも思い出したのか? 分かってるならさっさとやれ」  言われて戸惑う日向の姿に焦れたのか? 浩也の靴が萎えたペニスへと乗せられる。 「っ!」 「自分で取り出して口でやるんだ。やり方はこの前教えたろ。早くしないとコレ、踏むから」  日向は「はい」と短く答えると、震える指先でファスナーを開けて浩也のペニスをそこから取り出し、それを口腔へと受け入れる。  先程まで青かった空は黄昏時の橙に変わり、教室の中に僅かな光を届けるが、それに背を向けペニスを咥える日向には、窓の外に広がる綺麗な夕焼けを見ることは出来なかった。

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