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 佑樹は僅かに眉根を寄せたがすぐに笑みへと表情を変え、「おめでとう」と言ってくれた。 「お祝いだから五時間ね!」  佑樹がそう提案をするが長すぎると亮が宥め、カラオケは三時間となった。  日向の心境は複雑だったが、ここでは敢えて考えるのを止めることにする。  考えてみても分からないし、初めて来た友達とのカラオケを楽しみたい。  カラオケが好きな佑樹はもちろん、亮も浩也もとても歌が上手だった。分からない曲ばかりだったけれど聞いてるだけでとても楽しい。 「どう? 初めてのカラオケは楽しい?」  亮が歌っている最中に、顔を近づけて佑樹が小声で訊いてくる。浩也は携帯電話へと着信があったため、外に出ていて不在だった。 「すごく楽しいよ。ご飯まで食べれるなんて本当に凄いね。みんな凄く歌が上手だし」  笑顔で日向が答えると、「なら良かった」とホッとしたような表情を浮かべた佑樹が次の瞬間真顔になった。  思わず日向が身構えれば、声を低くして尋ねてくる。 「北井と付き合ってるって本当に本当? なんだか信じられないんだけど」  真っ直ぐにこちらを見つめて発せられた佑樹の言葉に心拍数は加速したが、目を逸らしてしまいたい衝動をグッと堪え、しっかり視線を受け止めながら微笑みを浮かべ口を開いた。 「本当に本当だよ。言い出せなくてごめん。なんだか自分でも信じられなくて」  ちゃんと笑えているだろうか?  側にいたいからセフレになったなんて知ったら、きっと軽蔑されてしまう。虫のいい話だとは思うけれど、はじめて出来た大事な友達を日向は失いたくなかった。 「分かった、日向を信じる。俺、前に北井を悪く言っちゃったけど、日向が選んだなら考えを変えられるように努力するよ。改めておめでとう」  笑顔になった佑樹に言われて日向も笑みを深くした。 「ありがとう、嬉しい」  日向は心底ホッとしながら悠樹へと返事をする。胃の辺りがジクジクと痛むが、深く考えてはいけないと思い、無意識のうちに日向は自分の心にそっと蓋をした。

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