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「脱いで」
玄関へと入った途端、告げられた言葉に日向は体を震わせる。
思わず浩也を見上げるけれど、返される視線は酷く冷やかだ。
カラオケが終わり夕飯にはまだ早い時間だったから、亮達とはそこで別れて誘 われるまま浩也の家へとついてきた。
「あの、シャワーを」
最初の時を除いては、いつも先にシャワーを浴びろと言われていたから、日向はおずおずと尋ねてみるが、
「いいから、今すぐ脱げ」
淡々と告げる浩也の言葉に無駄な抵抗を諦めて、シャツをのボタンを外し始める。
「ここ、だいぶ赤くなったな」
胸の突起を人差し指の腹で撫でられ、擽ったさに鳥肌が立った。広い玄関に全裸で立つのは本当に心許なく、背中に当たるドアの冷たい感触に、体が自然と強ばってしまう。
「カラオケ、楽しかった? 」
めずらしく優しい口調の浩也に内心戸惑いながら、
「…… はい」
と日向は短く答える。
日向にとっては本当に楽しく、終わらないで欲しいと思える時間だった。
すると、羞恥に頬を薄く染めながら小さく頷く日向の返事に、満足そうに頷いた浩也が今度は冷たい声音で命じた。
「じゃあ今度は俺が楽しむ番だ。ここで口でできるよな? ヒナ」
見上げれば、口端を上げる整った顔がそこにある。
こういう顔を見せた時には逆らってはいけないことを、この二週間、日向はその身で学んでいた。
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