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日向は浩也に従順だが、その真面目さと経験の無さから、快楽を感じることに無意識のうち拒否反応を示す場面が多かった。
きっと、余計なことを考えられないように追い詰めて愉悦を体に刻み込めば、素直な体は貪欲にそれを求めるようになるだろう。
そなことを考えながら浩也は日向へ近づくと、顎 に手を添え短く告げる。
「ヒナ。俺の友達に挨拶は?」
上向かせようと指に力を入れるけれど、首を振って拒否された。
「ちゃんと躾 出来てないんだ」
横から言われ、
「まだ始めたばかりだ」
口元を少し歪めて返事をする。
怯えたように震える姿に胸の辺りがチクリと痛むが、だからといって止めようなどとは微塵も思っていなかった。
***
頭の上で交わされる会話の意味が日向には分からない。
――躾って? セフレってこんなことまでするものなの?
浩也の性癖は聞いている。だけど、他人に見られて平気なんかじゃいられなかった。
「ヒナ……止めるか?」
尋ねてくる浩也の声に頷きそうになるくらい、日向は追いつめられていたが、ゆるゆると首を横へ振る。
こんなに酷くされても尚、浩也の側ににいられなくなるのが嫌だった。
「……止めま…せん」
日向はゆっくりと顔を上げ、視界に入った人物を見る。
身長は浩也と同じくらいで、髪の毛の色は明るい茶色。整った顔立ちはやや下がった目尻と微笑んでいるみたいに上がった口角で、一見優しそうにも見えた。
「はじめまして……矢田部日向といいます」
消えいりそうな小さな声で、この状況には似つかわしくない挨拶を口にすれば、クスリと喉で笑った彼が、「えらいね」と告げてくる。
「俺は阿由葉聖一 、よろしく……ってか本当に可愛い顔してる。浩也ぁ、俺も混ぜてくれない?」
柔和な笑みを浮かべながら、とんでも無いことを口にするから、驚きのあまり日向の体は強ばった。
そんな日向の耳許へと、聖一が低く囁いてくる。
「怖がらなくて良いよ。気持ち悦くしてあげるから」
「っひぅっ!」
突如耳たぶをペロリと舐められ、身体中へと鳥肌が立った。
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