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「耳がいいの? ここ……()っちゃってる」  聖一の長い指先が、日向の乳首を捉えて(もてあそ)ぶ。 「違っ……ぁっ」  気持ちが悪いだけの筈なのに、精神的に疲れてしまった日向の体は自覚も無いまま従順に快楽を拾いはじめた。 ――怖い!  わき上がってくる強い恐怖に助けを求めて浩也を見るが、返される視線は冷たい物で、悲しくなった日向の瞳から涙が一筋零れ落ちる。 「た……たすけてっ」  自分でも驚くくらいに情けない、か細い声しか出なかった。  聖一を招き入れたのは他でもない浩也本人で、止めに入る様子も無いが、それでも他に縋る相手はここにいない。 「セイやめろ。お前が混ざったら使い物にならなくなる。相手ならいるだろ」 「しょーがないなぁ」  浩也の言葉に舌打ちをしてから、聖一は日向の側を離れた。  ***  よほどショックが大きかったのか? 俯いた日向は嗚咽を漏らしながら震えている。 ――俺は何を……。  聖一に触れられ反応している日向の見せる艶にあてられ、浩也は確かな欲情を覚えた。  しかし、それとは別にわき上がってきたある感情に、柄にもなく戸惑いもしたから、聖一を制止するのが少し遅れてしまったのだ。 『たすけて』  真っ直ぐ自分を見つめてくる黒く濡れた大きな瞳と、助けを求めるその声に、ようやく我へと返ったなんて。  そんな筈は無い。  こいつは玩具だ。  誓いを忘れてはいけない。  だから嫉妬なんてありえない。  酷く扱って離れていかない人間なんて居ないのに、そうせずにはいられない自分。  浩也が誓いを果たせた時、変わってしまった自分を相手は受け入れてくれるのか?  そんなことを考えながら、浩也は自分の中に芽生えたある矛盾に気がつかない。 「ヒナはシャワーに行っていいよ」  命じると、弾かれたように顔を上げ、日向はそのまま立ち上がった。  よほど逃げたかったのだろう。聖一にペコリとお辞儀をすると、そのままふらふらとバスルームへと歩いていく。 「ヒナちゃん、今度は相手してね」  聖一が声を掛けた途端、あからさまに肩が震えるが、日向はそのまま振り返らずにバスルームへと姿を消した。 「嫌われちゃった?」  悪びれもしない聖一の姿に軽くため息をついたあと、浩也は彼へと問いかける。 「頼んだ物は?」  すると聖一は、玄関先に置いてある袋を指差した。

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