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『……こうちゃんに、会いたい』
急に場面が切り替わった。
『ごめんね。探してみたけど判らなかった』
少年はいなくなり、目の前にいるのは叔父の恋人の副田 梓 だ。
『僕、あそこに戻って待ってる。約束したんだ』
そして泣きながら我が儘を言い、彼を困らせているのは幼い頃の自分。
写真は二人の宝物だから、持っている事を教えなかった。
『こうや』という名前だけで探せと言う方が間違いだと、今の日向には良く分かる。
日向の他には見た者のいない少年の存在を、寂しさから見た幻覚なのではないか? と医者には言われたけれど、梓と章は信じてくれた。
『いいかい日向くん。いつか会えると信じていたら、きっと会える。その時に胸を張れるように、今は僕らと笑って暮らせるように頑張ろうよ……ね?』
あの時言われた梓の言葉が日向の胸を締め付ける。
浩也には再会できたけれども、セフレという関係を知れば梓はきっと怒るだろう。
だけど……再会を運命だなんて思えるような状況じゃないけれど、それでも意味が無いとは思えず日向はここで足掻いている。
「……梓さん、ごめんなさい」
自分の口から出た声がやけに大きく鼓膜を揺らしたため、日向はぼんやりと目を覚ました。
「あっ」
浩也の家で転 た寝をしていた事に気づき、慌てて視線をさまよわせる。わずかな間接照明が点いているだけで、リビングの中は薄暗い。
「よく寝てたな」
すると、突如頭上から声が響いて、日向は一気に覚醒した。
「あっ! ごめんなさい」
ソファーで眠ってしまった日向は、いつの間にか浩也の胸へと背中を預ける格好になってしまっていた。頭上から声が響いた理由を理解して、慌てて体を離そうとするが、背後から日向の前へと回された浩也の腕はほどけない。
「寝てたことなら気にしなくていい。疲れたんだろ。それに……」
「っぁあ……ん」
「その間に準備してたから」
耳許で低く囁く声。
驚いて視線を下へと向ければバスローブははだけており、浩也の指が胸の小さな尖りを弄んでいた。
「寝てても反応するから、なかなか楽しめた」
「……あぁっ、まって」
起きたばかりで状況を上手く飲み込めなてい日向は制止を求めるが、幸せな夢を見ている間、刺激を与え続られていた体は愉悦に抗 えない。
「ここ……だいぶいい具合に感じるようになった」
浩也の家へと訪れるたび、触れられ続けている胸はかなり敏感になってしまっていた。
日向はそれを認めたくなくて首を横へと何度も振る。
「……ちがう」
「違わない。ほら、ここも」
「っっあぁッ」
バスローブの上からペニスを握り込まれ、体の芯を突き抜ける愉悦に思わず背中を仰 け反 らせた。
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