＊＊＊ 「あっ…うぅっ」 　最初の夜からどれくらいの時間が経ったかもう分からない。 　カロリーを摂取するためだけに簡単な食事をとったり、行為のあと疲れ果てて眠りについたりする時以外、常に愉悦を注ぎ込まれた日向の表情は色気を纏い、その頬は赤く上気していた。 　朝食後のリビングで、ソファーへと座る浩也を跨ぎ、その長大なペニスを自(みずか)らアナルへ受け入れた日向だが、浩也がわざと動かずにいると焦れたように腰を振りはじめる。 「あっ…ぁんっ…あァン」 「気持ちいい？」 「はぃ……きもちいぃ…です」 　拙く腰を前後させながら答える日向の口の端からは唾液が零れてしまっていて、卑猥な眺めに昂った浩也のペニスが更に質量を増した。 「あぅっ！　大きくしちゃだめ……当たるっ……あぅぅっ！」 「当たるって、どこに？」 　この数日間、快楽と共に言葉遣(づか)いも教え込んだ。 「ヒナの……悦(い)いところに、あたって……きもちいいです」 　仕込んだのは自分だが、懸命に答える日向の姿に浩也は更なる興奮を覚える。 　当初は一週間のつもりだったのに、気づけば10日になっていて……こんなに欲に溺れたのは初めての事だった。 「っあッ…いやぁ……止まらない」 　前立腺を何度か穿てば、病みつきになったように腰を振る日向の姿に煽られて、さらに激しく下から突き上げる。 「あっ…あっ、あっ…ああッ…やぁッ」 　衝撃に、先に達した日向が震え、浩也の腹へと白濁を放つ。 「……クッ」 　後を追うように浩也が体内(なか)へと射精をすれば、後孔が搾り取るかのようにヒクリヒクリと伸縮をくり返した。 　脱力しきった日向の体を片方の腕で支えた浩也は、暫しの後、嵌めていた首輪を外す。 「……っあ」 　すると、日向の口から吐息が漏れた。 「今回はこれでおしまい」 　さらにわき上がる欲情を抑え込む為に、感情を極力殺して抑揚の無い声で告げると、日向の大きな瞳からはボロボロと涙が溢れる。 ――まぁ、そうだろうな。 　無理な行為を強いてきたのだから、ようやく終わったことに安堵した日向が涙を流すのも、無理のない話と浩也は思う。 　良く耐えたものだ……と。 　けれど、次の瞬間日向が紡いだ言葉は思いもよらないもので――。 「……駄目でしたか？　僕はセフレとして失格ですか？」 　そこでようやく抑揚を消した自分の声が、日向を不安にさせたらしいと浩也は気づく。 「そんなことは無い」 　スルリと言葉が口から出た。