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『オレ……会ってからまだ少ししか経ってないけど、アカリのことが好きだ』
耳元で小さく囁かれた言葉がとても嬉しくて、日向も浩也が大好きだから何度も首を縦へと振れば、なぜかクスクスと笑われる。
『アカリには意味分からないよなぁ。オレが言ってるのは……こういう意味なんだけど』
突然頬へとキスをされ、驚きに目を見開いた日向を照れくさそうに見つめた浩也がその唇へと笑みを浮かべた。
『涙が止まって良かった。ごめん、嫌だった?』
問いかけに、日向は首を横へと振る。全く嫌ではなかったから。
『今はオレが一緒にいるから、アカリは一人じゃないよな?』
ひとつ頷く。浩也が来るようになってから、一人を感じる時間は短くなったから。
『アカリは一人じゃない。オレがいるから。オレはまだ子供で、毎日少しだけしか一緒にいられないけど……アカリが淋しくないように、いつかずっと一緒に居られるようにする。だから約束……』
今度のキスは唇へと降りてきて、軽く触れ合うだけのそれに日向の心臓がトクンと跳ねた。
『それまで、オレ以外の人とキスはしないで』
そう告げてくる浩也の表情がなぜか苦しそうに見えてしまい、切ない気持ちになった日向は、笑って欲しいという一心で何度も頷く。
『オレの気持ちだけ押し付けちゃってごめん。約束、オレは守るけど、やっぱりアカリは気にしなくてっ……』
思い直したようにそう告げてきた浩也だけれど、日向が差し出した小指を見て、驚いたように動きを止めた。
そのまま、笑顔で頷く日向の小指に浩也は小指を絡ませて、2人はひっそりと指切りを交わす。
深い闇の中へと落ちていきそうになった日向の心に、光を灯してくれた浩也とずっと一緒にいられるならば、どんな約束でも守ろうとこの時日向は思っていた。
その気持ちは間違いなく恋と呼ばれるものなのだけれど、日向がそれに気づくのは、これよりずっと先の事で。
『それじゃあ、また明日』
そう日向へと告げ、立ち去ろうとする浩也の姿を見送るのが、いつもよりなぜか名残惜しくて……。
『……コウちゃん』
気づけば日向は声を出していた。
この時浩也が日向へと見せた嬉しそうな表情を、きっと日向は一生忘れないだろう。
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