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 ***  結局、その日を最後に浩也は姿を見せなくなり、3日後に来た叔父に引き取られ、日向は生まれた街を離れて都心へと移動した。  あの時探してもらったけれど見つからなかった浩也には、戻ってきたこの街で偶然再会できた。けれど、彼の中のアカリはきっと女の子の姿だし、そもそもあの日交わした約束を覚えているのかも分からない。  なにせ、病院で少しの間一緒に過ごしただけの関係なのだから。  もし仮に、彼が覚えていたとして、女の子だと思っていたアカリが日向と知ったら、騙されたと思うかもしれない。そうなれば、きっともう相手にして貰えないだろう。  そんな事になるくらいなら、セフレでも良いから浩也の近くに居たいと日向は強く思った。  あの時、日向を救ってくれた浩也に何があったのかは分からないけれど、なんでも良いから今度は自分が役に立ちたい。  例えそれを向ける相手が自分じゃなくても、浩也に笑顔を取り戻して欲しい。  エゴだと言われればその通りだし、全てを打ち明けることの出来ない臆病な自分が嫌になるけれど、今の日向は浩也に『必要無い』と言われるのが怖かった。 ――外が明るい。  章からの電話の後、横になったまま色々と考え始めたら、結局眠りにつけないまま朝を迎えてしまっていた。  まだ色濃い跡の残る手首を見つめ、日向は小さくため息を漏らす。 「近くにいて、僕にできる事なんて、これくらいしか無いけど……」  呟いた声が、静かな部屋に小さく響いた。  *** 「梓さん!」  駅の改札から出てきた梓を日向が呼ぶと、それに気づいた彼は微笑みを浮かべて歩み寄ってきた。 「日向くん久しぶり。会いたかったよ」 「僕も会いたかった」  差し出された手を日向が笑顔で握り返すと、梓の眉間に僅かな皺が寄る。 「少し痩せたね。何かあった?」 「そうかな? 夏バテかも。最近暑いから食欲無くて」 「夏バテ? それは大変。日向くんがこれ以上ガリガリにならないように、美味しい物をご馳走しなくちゃ」  梓の言葉に「心配かけてごめんなさい」と返事をしながらも、あらかじめ返答を考えておいて良かったと日向は内心ホッとしていた。

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