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「日向くんは先にシャワー浴びて寝ていいからね。僕はちょっと仕事の資料を整理しちゃうから」  日向が大きな欠伸(あくび)をしたのを見た梓がクスリと笑う。  話をしているうちに夜も()けてしまい、時計を見ればもうすぐ日付を跨ぐ時間になっていた。  仕事の邪魔をしては悪いし、すでにだいぶ眠くなっていた日向は梓の言うことを聞き、シャワーを浴びてから寝室に入り、2つ並んでいるセミダブルの片方へと横になる。 ――おかしくなかったかな。  浩也の名前出されたら、どうしても動揺してしまう。  夏休みが始まって最初の10日が終わったあと、一週間後にはまた呼び出されてセックスをした。  それからも何日か置きに関係は続いていて、お盆には保護者が来るから痕は残さないで欲しいと頼み込んではみたけれど……。  そこまで思考を巡らせたところで、今朝(けさ)がたまで浩也に抱かれて眠れなかった日向の意識は闇へ落ち、静かな寝息をたて始めた。  ***  なるべく音を立てないようにドアを開き、寝室へと入った梓は、ベッドに小さく丸まって眠る日向の側へと歩み寄り、起こさないよう仰向けにするとパジャマのボタンをいくつか外す。  こんな夜這(よば)いみたいな真似はしたくなかったが、梓にはどうしても確かめたい事があった。 「……う……ん」  わずかな声を発した日向に梓は一瞬手を止めるが、よほど疲れているのだろうか? 起きる気配はまったく無い。そして、開いたパジャマの中を見た梓は動きを止めて息を飲んだ。 「……」  今日彼を抱き締めた瞬間、わずかにかに抱いた違和感と、今まで1度も見せたことのない艶を帯びた表情の理由が、想像していた物とは違うと知った梓は、その眉間へと皺を寄せる。  左の肩には見間違いようのない深い咬み痕がついており、鎖骨の下にも同じように咬まれた痕が幾つかある。  乳首に貼られた絆創膏の意味など考えるまでも無かった。 「オトコ……か。だけど……」  こんなことをする相手が女とは考えづらい。だから男だろうと考え、やりきれない気持ちになった。  まだ高校生の日向には早いだなんて、自分の事を振り返れば言えない。  きっと恋人が出来たのだろうと思っていた梓だったが、これを付けた男が日向を痛めつける行為をしているということは、痛々しいその姿から容易に想像することができる。 「独占欲か……無理強いか」  日向が隠そうとしている理由が脅しなら、滞在期間中になんとかして日向を連れ帰ろうと梓は思ったが、万が一にも日向が望んだ結果であれば、これを見たことを告げて追い詰めるような真似(まね)はしたくない。 ――やった本人に聞くしかないか。  話した感じでは北井という奴で間違い無さそうだと考え、それにしても……日向本人に聞けない自分も大概甘いと思った梓は、眠る日向の寝顔を見つめて自嘲的に微笑んだ。

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