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 チャイムを押してドアが開くのを待つ間、日向の足は緊張のあまりいつもよりも震えてしまう。  一週間来なかっただけなのにこんなに心拍数が上がるのは、久しぶりに浩也と会える喜びと、抱かれる事への怖さがあるからで……。  容易(たやす)く溺れてしまう自分を、 『淫乱』 と(さげす)む声に、いつ捨てられてしまうかとすごく不安になるけれど、セックスの後は 『頑張ったな』 と誉めてくれる事もあって、日向は困惑してしまう。  軽蔑されてしまうんじゃないかという不安はあるけれど、いざ行為が始まれば、体の昂りを自分で抑えるなんて到底無理だから、考えるだけ無駄な事かもしれないけれど。 「どうぞ」  開いたドアから顔を出した浩也を見て、日向は考えるのを止める事にした。  この行為の主導権は常に浩也が握っており、()(ぐち)に過ぎない自分は彼にこの体を(ゆだ)ねることしか出来ないのだから。 「休みは楽しめた?」  シャワーを浴びてバスローブを纏い、ベッドに腰を降ろす浩也の足元へと跪けば、赤い細身の首輪を日向の首に嵌めながら尋ねてくる。 「はい。久しぶりに会えたから、嬉しかったです」 「そう、それは良かった」  口角を上げる浩也の顔は笑っているように見えるけれど、今日はいつもより視線が冷たいような気がした。 ――なんか……怖い。  怖じ気づいた日向は無意識に後退(あとずさ)るが、その瞬間……細い鎖で作られたリードを引っぱられ、浩也の膝の上へとうつ伏せの状態で乗っかってしまう。 「なんで……ああっ!」  なぜ怒っているのかを尋ねようとして口を開いたが、突如叩かれた臀部の痛みで声は悲鳴へと形を変えた。 「っひぅっ、あぅぅっ、いたぃぃっ……やぁっ!」  バスローブの裾を腰の辺りまで捲り上げられて、直に肌を打たれる痛みに日向の口からひっきりなしに声があがる。 「仕置きは必要だろ?」  頭上から浩也の冷たい声が響くが、思い当たることが無いから日向は必死に首を振った。 「僕……何も、っあうぅっ!!」 「分からなくていいよ。ヒナはただ受け入れれば」 「……そんなっ、あぅうっ! ……いやぁ!」  段々と強くなる衝撃と痛みに涙が零れるが、浩也の手のひらは休むこと無く日向の尻を打ち続ける。

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