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「ああぅッ! やめっ、ごめんなさっ……ゆるしてっ」
なぜ打たれるのか心当たりは無いけれど、止むことの無い痛みに耐えるのは本当に辛かったから、数分もすると日向はたまらず謝罪の言葉を口にしてしまう。
何度も何度も謝っていると、本当に悪いことをしたような気持ちになってきてしまい、それが痛みなのか痺れなのかも分からなくなりかけた時、ふいに浩也の手が止まった。
「うぅ……」
混乱と痛みに嗚咽を漏らす華奢な体を俯 せに返し、浩也は日向の両手を背後で一纏めに拘束するけれど、抗う気力も残っていない。
「安心しろ。もう尻は打たないから」
かけられた声に日向がゆっくり浩也の顔を見上げると、口許だけで微笑む彼の瞳にはまだ怒りの色が浮かんでいる。視線が絡んだその途端、怯えた日向の身体中にサアッっと鳥肌が立った。
――なんでっ……僕が、なにを……。
自分のなにが浩也を怒らせてしまったのか? 日向にはまるで想像がつかない。
考えている時間もないままに首輪から伸びた鎖がベッドの脚の部分へと繋がれて、腹の下にはいくつかクッションが差し込まれ、尻を突き出すような格好にされてしまった。
「ヒナ、まだまだ……だ」
耳許で低く囁く声に体をビクリと竦 ませれば、同時に視界をなにかに遮られなにも見えなくなってしまう。
「やっ……なに?」
「目隠しをしただけだ。あとはこ――」
途中で耳を塞がれたため、浩也の声は途切れてしまった。
――見えない……聞こえないっ。
「……どうして、こんなことっ」
視覚と聴覚を奪われた恐怖に体をガタガタと震わせながらも、日向は必死に問いかけるけれど返事が聞こえる筈も無く……。
「何にも知らないのに仕置きされて……可哀想にな」
理由を求めて嗚咽を漏らす細い体を見下ろしながら、憐れむように浩也が呟いた。
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