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『ヒナちゃんのこと気に入ったから、俺の恋人に会わせてあげる。一緒に遊ぼう』
力が抜けた日向の体を担ぎ上げた聖一が、部屋へと続く廊下で放った言葉の意味が、本当に文字通りだとは思わなかったが、現実は想像も及ばないくらい酷いものだった。
「ただいまー」
「おかえり」
日向を肩に担いだままリビングを抜け奥の部屋の扉を開き、のんびりとした口調で告げた聖一に答える声は一つでは無くて、少なくとも三人の人間がこの部屋に居ることを日向に教えた。
そして。
「……セイ? っぁあっ!」
艶を纏った掠れた声が日向の鼓膜を揺らした刹那、それが引き金となったように、部屋に充満する雄の匂いをはっきり感じてしまった日向は恐怖に体を震わせる。
逆さの視界に映り込んだのはピンク色の絨毯で、顔を上げるとドアも壁も全てが同じ色だった。
「お土産連れてきたよ」
言いながら、聖一は日向を肩から降ろすとそのままトンッと後ろに突き飛ばす。
「あっ!」
突然の行動に身構える事ができなくて、そのままベッドに倒れた日向はすぐさま起き上がろうとしたけれど、伸びてきた手に手首を掴まれ簡単に阻止されてしまった。
「やぁっ!」
手首を掴んだ知らない男が顔を覗き込んでくる。
「へぇ、可愛い子じゃん」
「マジで!?」
その言葉に、もう一人の男も顔を覗き込んできた。
「ホントだ」
特段不良という雰囲気でも無い。だからと言って真面目そうでも無い。強いて言えば遊んでいそうな風貌をしている彼らが、一糸纏わぬ姿だったから日向が思わず目を反らすと、足元の方から聖一がクスクスと笑う声がする。
「可愛い、照れてるの?」
「違うっ……離してください!」
言いながら、懸命に体を捩れば、手首を抑え込んでいる手に更に力がこめられた。
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