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近くにあるスーパーから戻った佑樹は、浩也の纏う雰囲気が少し重くなっているように感じた。
「とりあえず、必要そうな物は買ってきたから」
眠っている日向をなるべく起こさないように、玄関を入ってすぐのキッチンスペースで荷物を出そうとした佑樹だが、浩也に「ちょっと待って」と言われてその手を止める。
「どうかした?」
「ヒナを、俺の家に連れて帰る」
「なんで? ここは日向の家だし、ここの方が……」
わざわざ移動しなくても良いんじゃないかと佑樹は伝えるが、浩也は首を横へと振る。
「もしもここでヒナが暴行を受けたなら、また犯人が来ない保証は無い。ヒナからちゃんと話が聞けるまで、ここから離れた方が良いと思うんだ」
「あ……」
その可能性をすっかり失念していた佑樹は、小さな声を上げた。
言われれば確かにその通りだ。
ここは、浩也の言う通りにするのが一番良い方法に思える。だけと……。
「北井は……日向の事が本当に好きなの?」
開いた口から出てきた言葉は、今の話の流れとは全く関係の無い物だったけれど、なぜだか佑樹は今それを彼に問わなければならないと思った。
「……なあ織間、好きな人間が隠している事を偶然知ってしまったら、お前ならどうする?」
それに対する浩也の返事も質問の答えにはなっていなかったが、その真剣な表情を見た佑樹は思考を廻らせる。
「場合によって……かな? 浮気なら問い詰めるけど、俺の為に隠してるなら考える。だけど、知ってるのに知らない振りが出来るほど大人じゃないから、結局黙ってられないと思う。って事はつまり……場合によってじゃない」
「ありがとう、参考になった」
纏まらない返答に、神妙な表情で礼を言われて心底驚いた。
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