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目を覚ました時にはすでに辺りは暗くなっていた。
数日ぶりに夢も見ないで眠れた事に驚きながらも、日向はだるさの残る体を起こそうして身動 ぎをする。
「あっ」
しかし、暗闇に慣れてきた瞳が人の姿を捉えた為、気配に全く気づかなかった日向は驚愕に声を上げた。
ベッド脇にある椅子へと座りこちらを見つめる彼の瞳は、きっと暗闇に慣れていたのだろう。日向と視線が絡んでも驚いた様子はまったく無い。
「まだ横になってていい。今、なにか食べ物を持ってくるから」
それだけを告げると立ち上がり、部屋から出ていってしまう。
――今は何時なんだろう? 彼はいつから……。
幾つかの疑問が頭に浮かんでくるけれど、とりあえず今は浩也が戻って来る前に起き上がらなければならないと思い、日向は上半身を起こして暗い室内を見渡した。
今までは、ゲストルームしか使用していなかったから、浩也の寝室に入ったのは初めてだ。
彼の寝るべき場所を占拠してしまっているのは申し訳ないが、こんな状況でおかしいのかもしれないけれど、少しだけ胸がざわつくような感覚がした。
この感情がひどく不謹慎な物だという事は、分かってはいるのだけれど――。
――あんなことがあったのに、僕はまだ。
そんな自分の愚かしさに目の奥がツンとしてきた時、ドアが開いて浩也が戻ってきたから日向は思考を止めた。
これ以上考えてはいけない。そう思ったから。
***
「ご馳走様でした。おいしかった……です。ありがとう」
差し出された皿の上にはカットされた苺が沢山乗せられていた。正直あまり空腹は感じていなかったけれど、さっぱりとした酸味と甘味に触発され、珍しくいつもよりも食が進んだ。
「もう食べないのか?」
「はい」
尋ねる声に答えながら伸ばされた手に皿を返せば、それを手にした浩也が立ち上がる。
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