＊＊＊ ――本当に、これでいいのか？ 　日向の体につけられた痕の一つ一つへと歯を立てながら、浩也は自問を続けていた。 　聖一から受け取ったDVDに映し出された映像は、想像していたよりも遥かに酷い内容のものだった。観ながら浩也は何度も目を逸らしそうになったけれど、日向の苦しみを思えばそれは出来なかった。 　映像の中の日向は媚薬を使われおり、壮絶な艶を放っていたが、浩也にとっては痛々しいとしか思えないような内容で――。 　聖一を無傷で帰した自分に歯軋りしつつ、映像の中の日向が全ては浩也の差し金であると信じてしまった事に、少なからずショックを受けた。 ――実際、それだけの事を俺はしてきた。 　この時、自分が触れると震えだすのは、恐怖と拒絶からなのだろうと浩也は結論づけていた。 　ならば、佑樹に頼んで看てもらった方が良いのではないか？ 　とも。 ――これ以上、ヒナを追い詰める事はできない。 　そう考えた浩也だが、全てが今更だと悟りつつも映像を観る事はだけは止めなかった。 　そして、いつ終わりを迎えるのかも分からない長い行為の中で、日向がとった間違いなく無意識であろう行動に……思わず瞳を大きく見開く。 『っ嫌！　……ダメっ！！』 　それまで、熱に浮かされたようにペニスを求め続けていた日向が、突然抵抗しはじめたのは男達の中の一人がキスをしようとしたからで――。 『いいじゃん。減るもんじゃねぇし』 　言いながら、キスをしようとした男の顔へと日向が唾を吐きかけた。 『てめえ！』 『うぅっ！』 　次の瞬間頬を張られて、日向はベッドへ倒れこむ。 『キスは、約束だから……』 『は？　なに言ってんだ？』 　虚ろな瞳で呟く日向の髪の毛を、苛ついたように男が掴んだちょうどその時、画面の外から聖一の声がした。 『キスは駄目だって言ったよね。浩也に殺されちゃうかもよ』 　それはのんびりとした声だったけれど、男はすぐに行動を止めた。 『チッ……分かったよ。だけど俺の顔に唾吐いた事は後悔して貰うから』 　その後は目を覆うばかりの惨状で……二本のペニスをねじ込まれ、声も出せなくなってしまった日向の肢体が男の上で力無く揺れ続けている。 　罵声やなじる声の合間、微かに開いた彼の唇が何かを言っているように見えた浩也が音量を上げていくと、信じられない言葉が耳を打った。 『……けて……たすけて……こうちゃん』 　うわ言のように繰り返される自分を求めるその声に、浩也はコクリと息を飲み、手のひらに爪が食い込むくらい強く拳を握り締めた。