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 触れるだけのバードキスを繰り返していた浩也だが、そのうちに舌で唇をつつかれたから、どうすればいいか分からなくなり羞恥にぎゅっと瞼を閉じる。  身じろぎも出来ずされるがままに任せていると、引き結んだまま固まっている唇へ舌を這わされた。促されるまま口を開けば口腔内へと舌が入り込んでくる。 「……ふ…ぅん」  それから、長い時間をかけて口内のいたる所を蹂躙され、そこから生まれた甘さと疼きに日向はたまらず鼻にかかったような吐息を漏らしてしまう。 ――なんか……変だ。  (へそ)の辺りが熱を持ち、中が(うごめ)くような感覚がして体の芯が切なくなる。初めてのことに戸惑いながらも日向は必死にキスに応えた。 ――ずっと、こうしていたい。  気持ちが通じ合った上で、触れ合うことがこんなにも心地がよいものだなんて知らなかった。だから、この瞬間がずっと続けばいいと思う。  深いキスを誰かと交わした経験は無いけれど、それでも……少しでも気持ちを伝えたくて日向も舌を動かすと、驚いたように浩也の動きが一瞬ピタリと止まったけれど、すぐにさらに深い場所までその舌が侵入してきた。 「んっ……ふ……んぅ」  限界近くまで開いた唇の端からは、どちらの物ともつかない唾液が首を伝う。  腰が砕けて倒れそうになる体を腕に支えられながら、必死に肩へとしがみついている日向を優しく抱き締めると、名残惜しそうに歯列をなぞった浩也の舌が口の中から出ていって――。 「……やっ」  解放された日向の口から思わず不満げな声が漏れた。 「大丈夫か?」  かけられた声に瞳を開くと、そこには心配そうにこちらを見つめる浩也の顔があり、余韻から抜け出せないまま日向がコクリと頷き返せば、「よかった」と囁いた彼が安堵したような微笑みを浮かべる。 「ごめん。がっつき過ぎだ。嬉しくて止められなかった」  照れたように告げてくる浩也の頬には僅かに(しゅ)()していて、初めて目にするそんな表情に日向の心臓がドクンと跳ねた。

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