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「今日はもう休んだ方がいい」
声が聞こえてきたと同時に体が布団に包まれた。
優しく髪を撫でられるうちに瞼がどんどん重くなるけれど、日向はまだ眠りに堕ちてしまいたくない。
「寝たくない。もし、これが夢だったらって思ったら……怖い」
だから起きていたいというのに体がいうことを聞いてくれない。それでも必死に日向が睡魔と戦っていると、パサリと布団が捲られて浩也が隣に滑り込んでくる。
「あぁ……」
体が密着するようにギュッと体を抱き締められ、日向の口から吐息がこぼれた。
「大丈夫、夢じゃない。ここにいるから」
耳許で優しく囁く声に、日向の体から徐々に力が抜けていく。
「本当? ずっと、一緒?」
逞しくて優しい腕に包まれる安堵感に、さらに瞼が重くなった日向は切れ切れに言葉を紡ぐ。
「約束しただろ。それに明日は花火だ。もし行くのが無理だったら、ここから一緒に見よう」
「花火、明日なの? 覚えてて……くれた?」
「もちろん」
答えた浩也の唇が額に降ってきたから、日向は自然と笑顔になる。
「嬉しい」
囁くように気持ちを告げれば今度は瞼にキスをされた。
「おやすみ……ヒナ」
浩也の声が鼓膜を揺らし、安心した日向の瞼が完全に閉じる。
「愛してる」
意識を手放す寸前に、囁かれた愛の言葉。
強い睡魔に抗えず、深い眠りへと堕ちていきながら、日向は今この瞬間が夢じゃない事だけを強く願った。
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