それから……長いキスを交わした後、脱力してしまった日向をうつ俯せに返した浩也は、手早い動作でハーフパンツと下着を脱がせ、腹の下にクッションを差し込んで尻を高く掲げるような格好にしてしまう。 「っ……何を……あっ」 　自分の一番恥ずかしい場所が浩也に晒された事に気づき、日向は慌てて体を動かそうとするけれど、チュッと音を立てて尻にキスをされ驚きに動きを止めた。 　すると今度は彼の手のひらがそこを揉むように動き始める。 「あっ…なっ…ダメ」 　強弱をつけて尻を揉まれ、あまりの羞恥に日向は制止を求めるけれど、「本当に嫌？」と尋ねられれば、それ以上何も言えなくなった。 ――嫌じゃない……けど、恥ずかしい。 「あっ……！」 　必死にシーツを掴んでいると、今度はそこを拡げるように左右へと引かれ、アナルが直接空気に触れる感覚に……日向は小さく声をあげる。 「ヒナは、こんな所まで綺麗だ」 　愛しげに呟く浩也の声が耳へと滑り込み――。 「ひっ！　……やぁっ」 　次の瞬間、アナルを襲ったザラリと濡れた感触に、驚愕した日向の口から悲鳴にも似た声が上がった。 　＊＊＊ 「あぁっ……うぅ……ふう…ん」 　薄暗い室内にクチュクチュという濡れた音と、何かを堪えているような日向の呻き声が響く。 　いきなりアナルを舐められた時には、汚いから止めてほしいと何度も懇願したけれど、いくら体をよじってみても、しっかりと腰を掴む手から逃れる事は叶わなかった。 「んっ…うぅ……」 　最初は擽ったいだけだったはずなのに、時間が経つにつれ日向の中には不思議な感覚がわき起こる。 「あっ……あうぅっ」 　さらには浩也の舌がツプリと中へ入り込んできてしまい、浅い場所を這うザラリとした感触に……日向の体がビクリと跳ねた。 　アナルの中がヒクリヒクリとうごめいているのが自分自身にも良く分かる。 　気遣ってくれている事は、その優しい舌遣いから痛いくらいに伝わるけれど、決定的な刺激が無い分、下半身にこもってしまった行き場の無い疼きと熱が先ほどから日向を苦しめ続けていた。 「ヒナ、気持ちいい？」 　一旦そこから口を離して尋ねる浩也に頷くと、うまく力が入らない体が仰向けへと返される。 「……北井くん、僕、もう……」 　早く熱を放ちたくてねだるように浩也を見れば、人差し指を立てた彼が日向の唇へと触れた。 「名前で呼んでくれないか？」 　そう告げてきた彼の目許は少しだけ紅く色づいていて、自分の体に興奮してくれたのだと思うと、日向の心は泣きたいくらいの歓びに包まれる。 「浩也……くん」 　初めて囁く愛しい名前は、自分でも恥ずかしくなるくらいに甘く空気を震わせて……。 「呼び捨てでいい」 　そう言いながら、はにかむ浩也が愛しくて、たまらなくなった日向が涙を零しながら微笑むと、伸ばされた手が頬を包むように触れてくる。 「ごめんなさい。嬉しくて」 ――だから、心配しないで。 　繋げるつもりだった言葉は浩也の唇に吸い込まれた。