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「………」  離れそうになる腕を掴み、佑樹はそれを強く引く。無言のままベットの上へと座るように促せば、戸惑いを隠せない様子ながら亮はそこに腰を下ろした。  その足元へと膝を付き、ジーンズの留め具へ指を掛ければ、流石に驚いたのだろう。慌てて腕を伸ばしてくる。 「ちょっ……佑樹っ、何して……」 「気持ち悪かったら突き飛ばしていい。そうしたら、この先二度と亮には近づかない」  顔を見る事はできななかった。  「冗談だ」と、今言えたなら間に合うかもしれないと思う。  だけど、溢れだしてしまった思いをどう止めればいいのかが、佑樹には分からなくなってしまっていた。 ――叶わないなら、一度だけでも。  そんな、刹那的な考えに流され身を任せてしまうのは、自分の気持ちを告げてしまった佑樹が動揺しているからだ。  震える指先で必死にボタンを外していると、亮の動きがピタリと止まる。  それが何故かは分からなけれど、もう今さら止める訳にもいかなくて。 「一度だけ……そしたら、諦める。普通の友達に、戻るから」  支離滅裂な発言をしている自覚はあるけれど、そんな事にまで気を回すことが今の佑樹には出来なかった。震える指先で何の兆しも見せてはいない亮のペニスを下着の中から取り出すと、迷う事無く口を開いて佑樹はそれを口腔へ含んだ。 「っ!」  驚いたのか? 亮が息を飲む気配がするが、構っている余裕はない。  いまだ突き飛ばされずにいられる理由が亮の動揺のせいならば、拒絶される前に少しでもその気になって欲しいと思い、佑樹は口に含んだペニスを丁寧に舐め始めた。

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