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「んっ……んぅ」
何分が経過しただろうか?
いくら頑張っても何の兆しも見せてはくれない亮のペニスを、諦め切れずに舐めしゃぶりながら、彼は本当にノンケなんだと思い知らされ、佑樹は絶望的な気持ちに包まれ始めていた。
「佑樹、もう……」
頭上から降ってきた痛ましげな小さな声に、思わず顔を上げたのは、無意識のうちの行動で――。
惨めな自分を憐れむような表情をしている亮を見て、佑樹の視界は歪んだ物になっていく。
「ゆう……き?」
自分を呼ぶ彼の声が、少し掠れてしまっているのは何故だろう?
「お前……」
亮の指に頬を掬われ、佑樹は自分が涙を流してしまった事に気がついた。
――馬鹿みたいだ。
勝手に好きになって、勝手に頭にきて、こんな事までしている自分はきっと亮から見たら凄く滑稽だろう。泣いてどうにかなるような話ではないと分かっているのに、久しぶりに頬を濡らす涙が止まる気配はない。
――もう……止めよう。
そう考え至り、困ったような表情をした亮の瞳をぼんやりと見つめた次の瞬間。
「……っ!?」
「ううっ」
突如質量を増したペニスに、佑樹は思わず小さくえづいた。
「なっ……」
驚きに声を上げている亮がどうして今さら反応したかは分からない。だけど、今は口腔を占めるペニスが硬さを失わない内に、更に大きく育てなければと佑樹は必死に舌を動かす。
馬鹿みたいでも、滑稽でも、間違っていても……拒まない亮の優しさを利用してでも、佑樹はもう二度と無いだろうこの時間、亮と繋がる事だけを考えようと思うことにした。
後悔してももう遅い。
長い時間をかけて大きく育った感情は、今じゃなくてもきっといつかは決壊していた筈だ。
『親友でいい』
心の中で呪文のようにそう唱え始めた時から、亮に邪 な感情を抱いてしまった自分には、彼の親友でいる資格なんて本当はもう無かったのだから。
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