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 結局、次の日も佑樹は学校を欠席して、その次の日が土曜日だった為、次に顔を合わせたのは月曜日の朝だったのだけれど、それまでの間亮はどうしても自分から彼に連絡することが出来なかった。 「おはよう」  月曜日。いつもと変わらぬ笑みを浮かべて姿を見せた佑樹の顔を直視することが出来なくて……思わず視線を逸らした亮が、それでも何とか挨拶をすると、特に気にした様子も無く自然に隣を歩き始め、いつものように昨日見たテレビの話をこちらに振ってくる。 ――本当に、何も無かったことに……するつもりなのか?  あまりに普通な彼の姿に亮は戸惑いを覚えるけれど、それでも何とか相槌を打ち学校へと足を進めた。  だけど、気づけば亮の頭の中は先日起こった出来事ばかりが駆け巡り……探るように視線を向けても隣を歩く佑樹の表情はいたって普段と変わらなく見え、その心中を読み取る事が亮には出来ない。  焦茶がかった髪の毛が、初夏の風に揺れている。  いつも側にいるのが当たり前な存在。  幼馴染みで親友。  そんな佑樹がまさか自分を好きだったなんて、今も信じ切れずにいた。 ――もしかして、あれは……夢?  いつもと変わらぬ佑樹の姿にあれは欲求不満が見せた幻だったのではないか? と一瞬思った亮だけれど、残された血痕を懸命に洗い流した記憶が夢だったなんてあり得ない。 「どうしたの? 今日の亮、何か変だよ」  心ここにあらず。そんな亮の様子を不審に思ったのか? 一旦歩みを止めた佑樹が、不思議そうな表情をして首を傾げた。 「な……なんでもないからっ」  心の中を見透かされたような気持ちになり、慌てて返事をしたけれど、元はといえば目の前にいる幼馴染みが全ての発端で。 ――なんで普通にしてられるんだ。  確かに『忘れて』と、佑樹は言った。  この何日か悩みに悩んで亮もそれが一番良いと思っていたけれど、こうも普通に接してくると心の中がモヤモヤする。 「ならいいけど」  少しだけ心配そうに紡がれた言葉が風に流れ、その桜色の薄い唇に思わず亮は見蕩れてしまった。

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