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「好きだ」
切なげに響く彼の声音に、抑えが効かなくなった涙が次から次へと溢れだす。
それを拭う余裕も無いまま佑樹が嗚咽を漏らしていると、急に顎を掬われて、涙で滲んだ視界一杯に亮の顔が迫ってくる。
「……んっ…うぅ」
チュッチュッ……と啄むように何度か唇に触れてから、そこへそっと重ねられた柔かな感触が、亮の唇と分かった佑樹はその目を大きく見開いた。
「んっ……うぅ…ん」
そのまま……徐々に深さを増す接合に佑樹の頭は激しく混乱したけれど、それよりも、触れた場所から亮の気持ちが伝わるような感覚に囚われ、心の中が温かなもので満たされる。
――信じて……いいの?
心の中の問いかけには、勿論誰も答えてはくれない。
だけど……。
――信じたい……。
そう佑樹は思った。
怖ず怖ずと手を伸ばし、自分の気持ちを伝えるように亮の背中をギュッと掴むと、次の瞬間彼の舌が佑樹のそれを絡め取るように動きだし――。
「んっ……ふっ……んうぅっ!」
吐く息さえも奪われるような深い口づけに、ビクッビクッと背中を浮かせて初めてながらも必死に応えていくうちに、佑樹の頭の中はぼんやりと霞んでいく。
――好き……亮、好き……。
そして……。
心の中で呪文のようにそう繰り返しているうちに、プツッと何かが切れたみたいに佑樹の意識は暗闇に堕ちた。
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