193 / 213

番外編4

【作品内容】  浩也×日向  甘い、初デート、なんとエロ無し。  いつもと違う雰囲気を楽しんで頂ければと思います。  *** 「浩也くん」 「ん?」 「僕、見たい映画があって、だから、その……」  控えめに話しかけてきた彼が自分に何を言いたいのかを、本当は知っている。  だけど、困っている日向の姿をもう少しだけ見ていたくて、浩也は少し意地悪をして素っ気なく尋ね返した。 「どうした?」 「あの……えっと、浩也くんは……映画好き?」  眉尻を下げてこっちを見つめる日向の瞳は潤んでいて、小動物みたいな様子がなんともいえず可愛らしい。 「好きだよ。その映画、今度の日曜一緒に行こうか」  あまり虐めるのも可哀相だと思い直し、浩也のほうから誘ってみれば、まるで花が咲いたかのように日向の表情がパッと綺麗に綻んだ。 「本当!? 嬉しい、浩也くん……ありがとう」 「ああ、約束な」  言いながら、頭をクシャクシャッと撫でた浩也は日向の髪へとキスを落とした。 「あっ」  たったそれだけの触れあいなのに、耳まで真っ赤に染めた日向がビクリと体を震わせる。  大きな瞳を更に見開いて驚いたようにこちらを見るから、頬にもチュッとキスをしたら今度は体から力が抜けた。 「嫌だった?」 「ちが…違う、いきなりするから……僕、驚いてっ」  ブンブンと大きく首を横に振る日向の姿が可愛くて。 「嬉しい……ホント、凄い嬉しい」  懸命に気持ちを伝えようとするその小さな唇を、自分のそれで塞ぎたいと思ったけれど、浩也はグッとそれを堪えた。  キスだって、セックスだってもう何回もしてきたけれど、恋人同士という関係に日向はなかなか馴れないようだ。それについては折角想いが通じたのだから、少しずつ、日向のペースで進めていけばいいと思う。だけど。 ――これはこれで可愛いけど、もう少し馴れてくれたら。 と、心の中で浩也はポツリと呟いた。  とはいえ、一緒に居ることが出来るだけで、今は幸せなのだけど。

ともだちにシェアしよう!