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――嬉しかった。
日向も一緒に懇願したが、未成年の恋人同士の同棲なんて認められないと章は言い、確かにそうだと思ったけれど、それでも諦めきれずにいると、帰ってしまう間際になって章が『いいよ』と言ってくれた。
傍 らで悪戯っぽく微笑む梓の姿を見て、彼が章を説得してくれたのだとすぐに分かった。
『但し、どっちかの成績が急に落ちたり、欠席が変に増えたりしたら、すぐに連れ戻す。あと、週に一度は連絡を入れること』
『日向君のアパートはそのまま契約しとくから……何かあったら連絡するんだよ。すぐに駆け付けるから』
入学の時もそうだったが、何だかんだと言いながらも、最終的には日向の意思を尊重しようと動いてくれる二人に眦が熱くなった。
『信頼を、裏切らないようにしような』
飛行場で浩也と一緒に見送った後、帰りの電車でそう言われ、
『愛されてるな』
と微笑む顔は何処か淋しそうに見えた。
――いつか、浩也くんの家族の人にも……。
事情は大体聞いているけれどきちんと挨拶したいと思う。例え今は仲互いしてても、大切な人の家族だから。
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