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「まあ、見られても構わないけど」
シレっとそんな事を言うから、鼓動がどんどん大きくなり、日向は気持ちを伝えるためにギュッと掌に力を込めた。
「僕も、浩也くんが好きだから、人に見られても平気だよ」
だけど、そのせいで大事な人が好奇の視線に晒されるのは堪らなく嫌なのだ……と、日向はポツリと付け加える。
すると浩也は呆れたように
「そんなことを考えてたのか」
と呟いて……それから日向の手を強く引いて来た道をまた戻りはじめた。
***
「っ!……つめたっ」
「大丈夫、すぐ熱くなる」
コートの前を開かれて、シャツの裾から入って来た手に、腹の辺りを直に掴まれ小さく体を震わせる。
浩也が日向を連れ来たのは、学校近くを流れる川の土手だった。
芝生が敷き詰められたそこに、人の気配は他にない。
明るい時間は犬の散歩やジョギングをする人が通る土手上のアスファルトも、街灯が整備されていないから夜は殆ど無人だった。
「着替えて来たんだ」
「や……浩也くっ……んぅ」
胸の辺りを指が這う。
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