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 芝に腰を下ろした浩也の横へと座ろうとした日向だが、途端フワリと体が浮いて、気づけは彼の脚の間で背後から包み込まれていた。 「家に、ご飯……作って来たから、帰ろ……あぁっ」 「終わったらな」  耳朶を甘噛みしてくる浩也に怒っている気配は無い。  一体どうしてしまったのかと日向が混乱していると……不安な気持ちが伝わったのか? 浩也が一旦手を止めた。 「ヒナが可愛いのが悪い」 「え? なっ、なん……あぅっ」  寒さに尖ってしまった乳首をキュッと摘ままれて体が跳ねる。言っている意味は分からないけれど、怒っている訳では無いと分かった日向は安堵して……小さく息を吐き出した後、浩也の方を振り仰いだ。 「嫌か?」 「ううん。でも……なんで?」  浩也がそれを望むならば、出来る限り応えたい。だけどどうして家があるのにこんな場所に来たのだろう?  そう思って言葉を返すと、 「こっちの方が近かった」 と、言うなりキスを仕掛けて来たから日向は心底驚いた。

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